リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展 bunkamuraミュジアム 2019 期待を裏切らないヨーロッパ貴族の審美眼

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好評につき会期延長です。

東京渋谷のbunkamuraミュジアムで開催の、リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展は、12月23日までのところ、会期が延長され12月26日(木)まで開催です。美術展の会期延長はあまり聞いたことがないので、喜ばしいことです。

リヒテンシュタイン侯爵家のコレクション

リヒテンシュタイン侯国といえばヨーロッパの小国で、オーストラリアとスイスに挟まれたところにあります。今年で建国300年で、その記念の展覧会になります。

リヒテンシュタイン侯爵家のコレクションは、約3万点、英国王室に次ぐ個人コレクションで、代々嫡子にだけ相続され散逸を防いでいるそうです。

フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミューラー「磁器の花瓶の花、燭台、銀器」

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リヒテンシュタイン家って、前田家?島津家?

ピンクと金で豪華絢爛、ヨーロッパ貴族です。ここまで綺羅綺羅していると、リヒテンシュタイン侯爵家の当主は代々、ゴージャス系の美術品をのコレクションをしていたのか?と錯覚してしまいそうです。これはキュレーションの賜物だと思います。絵画も多かったですが、ヨーロッパ貴族と言えば、磁器。景徳鎮・有田焼に、ウィーンのハプスブルク家の家来らしく、ウィーン窯の磁器が多数展示されていました。

ウィーン窯・帝国磁器製作所ヨーゼフ・ガイア―「近似花文クラテル型花瓶」

ウィーン窯・帝国磁器製作所ヨーゼフ・ガイア―「近似花文クラテル型花瓶」

リヒテンシュタイン侯爵家は大名家?

リヒテンシュタイン侯国という小国がヨーロッパにあるのは知っていましたが、リヒテンシュタイン侯爵は、神聖ローマ帝国皇帝の家来で、スイスとの国境線に接している地を所領しています。

何だか地球の裏側で、前田侯爵展とか、国の端ということでは薩摩島津家展とか、徳川将軍家ではなく、一大名家の美術展が開かれているようなものと思いました。

国の境界線にあるということは、外交的にも重要で、リヒテンシュタイン侯爵家に行ったら、凄い美術品ばかりで、『ハプスブルクまじ凄ーい!』『ウィーンに行ったらもっと凄いことになるかも』と思わせなくては外交の抑えにはならないはず。審美眼と教養と富の高さを見せつけなければならないのです。この美術品のおもてなしが、幾つかの戦争を防止したかもしれません。貴族にとって安い買い物ということ。

美少年美女揃いの肖像画

会場に入って直ぐの、侯爵家の肖像画は、普通に美男美女揃いでした。子供たちの愛らしい肖像画もありって眼福でございました。

主筋のハプスブルク家は近親婚で、あれな顔ですが、家系が違うと美人が多いんだ。ということに気が付かされました。リヒテンシュタイン侯爵家の肖像画を見ながら、逆にハプスブルグの近親婚が過酷だなと感じ入ってしまったくらいです。

イタリア宗教画、クラーナハ父、ヤン・ブリューゲル子、意外と良かったグイド・レーニー。

イタリア絵画のコレクションが充実しているそうです。数点ですが質が高いの作品が来ていました。クラーナハ父が3点です。小さい宗教画でしたが、私はクラーナハ父が大好きなので精神の補給になりました。「聖バルバラ」のレースのような模様の描き込み、独特の渋い色、たまに見たいものです。

花の絵を描かせると、天下一品なのはヤン・ブリューゲルとその子孫たち。花の絵が上手いだけではなくあしらいが上手いのだなと思わせたのはヘンドリク・ファン・バーレンとの共作「風景の中の聖母子」ピンクの薔薇の木が画面の片方にあるだけで、淡いピンク色の薔薇が印象的。清楚でシンプル。

今回意外と良かったのは、ローマアカデミアのグイド・レーニー。美しい顔の洗礼者ヨハネとマグダラのマリアの2点、さり気ない仕草、バストアップの画面で、丁度実物大でした。もし私が同時代の貴族だったら、押しの肖像画を注文したくなるな。レーニ―はポーズに凝って作り物感が強い画家だと思っていたので、この自然のポーズは意外でした。

そして花!

一番最後のコーナーは花の静物で、このコーナーだけ写真撮影が出来ました。金色とピンクの豪華な当展覧会の目玉と言って良いでしょう。ウィーン窯の陶板画の豪華で手の込んだ花の静物画が展示されていました。油絵と比べるとその手間は計り知れません。展覧会のサイトには花を特集したページがあります。

花特集

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お得情報!

今回も東急グループの御威光のもと、bunkamuraミュジアム・オーチャードホール・シアターコクーン・ルシネマの半券で、Bunkamuraと隣接する東急本店でサービスが受けられます。レストラン・カフェ・デパ地下と子供用品などです。詳しくは館内の看板。チラシを参照に!

コラボレーションメニューもあります。こちら!

リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展

リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_liechtenstein/

リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展 概要

建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展

webサイト  https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/19_liechtenstein/
Instagram https://www.instagram.com/liechtenstein2019/
会 期 2019年10月12日(火)~12月23日(月) 26日(木)
会 場 bunkamuraミュジアム
休館日10/15(火)11/12(火)12/3(火)
開館
時間
 10:00~18:00 毎週金・土曜日21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
入場料一般1,600円(1,400円)大学・高校1,000円(800円)
小・中学生700円(500円)( )内 20名以上団体
各種障がい者手帳お持ちの方は、割引きがあります。
詳細はサイトで
音声ガイド小泉孝太郎
図録あり
オリジナルグッズあり

出品元サイト リヒテンシュタインコレクション(英語)

Bunkamuraザ・ミュージアム アクセス方法

webサイト: http://www.bunkamura.co.jp/museum/
twitter https://twitter.com/Bunkamura_info
住   所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電   話: 03-5777-8600ハローダイヤル

アクセス方法 webページ

渋谷駅利用
JR線 渋谷駅 ハチ公口より 徒歩7分
東京メトロ銀座線、京王井の頭線 渋谷駅より 徒歩7分
東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線 渋谷駅 3a出口より 徒歩5分

神泉駅利用
京王井の頭線 北口より 徒歩7分

おすすめ、隣接する東急百貨店と渋谷前ヒカリエとの無料シャトルバス
渋谷駅ヒカリエ一階⇔東急本店一階東口(Bunkamura)との循環バスが、
9:50~20:15の間に12~15分間隔で運転しています。東急百貨店アクセス
東京都渋谷区道玄坂2-24-1

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2019年12月5日初出
2021年6月25日改訂

 

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