蓼科高原から移転
ホテルニューオータニのマリーローランサン美術館は、ずーと気になっていました。蓼科から東京に移ったと知ったその日日からです。1990年代に長野県の蓼科にあったマリー・ローランサン美術館に行ったことがあります。その頃の私はエコール・ド・パリの画家、フジタ、モディリアーニが好きでした。高原の美術館でマリー・ローランサンの絵に囲まれて、感銘を受けました。
2011年に蓼科のマリー・ローランサン美術館は閉館になりました。その後フランス・パリのマルモッタン=モネ美術館での「里帰り展」、日本以外のアジアでは初めてとなる台北、台中での回顧展、三鷹、金沢、浜松、府中、碧南、酒田、京都、長崎の展覧会があり、その後このホテルニューオータニに移転したそうです。

「お城の生活」マリー・ローランサンhttp://marielaurencin.jp/about/
マリー・ローランサンという宿命
重要なお知らせ
マリー・ローランサン美術館は2019年1月14日の「音楽とマリー・ローランサン」展終了をもって閉館させて頂きます。ご来館頂きました皆様には心より御礼申し上げます。なおコレクションは今後も維持されますので、また皆様にご覧頂ける機会をもてればと希望致しております。
館長 吉澤公寿
http://marielaurencin.jp/
私は土曜日の午後に行ったのですが。残念ながら私のほかに妙齢のご婦人のグループしか客がいませんでした。鑑賞を邪魔する人は居なかったので、何回も展示室を回れました。でも流石にこれは寂しいなと感じました。
ブログを書くにあたり、サイトを見直して。来年の1月に閉館のこと。やはりという感じです。
フジタの展覧会が都美術であったり、ピカソは根強い人気があります。洗濯船のピカソの仲間たちは、美術史的に評価され、多くの美術ファンの心を捉えています。マリー・ローランサンも美術史上の画家になったのですが、現在の人気というは大きくなく、2018年は逆向というところです。
淡いパステルカラーでピンクが印象的な、マリー・ローランサンのようなヴィジュアルは、20世紀なら求められました。強権的な男性文化に、抵抗するヴィジュアルです。ピンクの女性的な物が少なかった、1960年代70年代には、少女サイドから愛されました。
それから考えると。この2018年は女性的なものを代表するヴィジュアルが、パステル調ではなくなり、茫洋たる線よりは、くっきりとした線が好まれています。これは男尊女卑の風は今も残りますが、女が生き抜く方法が幾つもある時代になったからでしょうか。今の主流よりそれてしまいました。
美術館内で見て歩いて思ったのは、マリーローランサンは芸術家がだったんだな、思いました。アポリネールに失恋したり、離婚したり、亡命したりと、彼女も波乱万丈です。追い詰められようが、打ちひしがれようが、芸術表現に戻ってきて、マリー・ローランサン調の表現で絵を描きました。甘く見られようが彼女は芸術家です。
似ているけれど東郷青児は、やっぱり芸術からマネタイズの彼岸に行ちゃいました。

「音楽」マリー・ローランサンhttp://marielaurencin.jp
淑女のささめきが、似合う美術館
淑女の話し声が似合う美術館だなと感じました。同じ展示室にいた女性の静かな話声、知性を漂わせていました。常設展示の美術館や中小の美術館は、割と求道者的な鑑賞者が居て、ある種の緊張感が漂うときがあります。そういう鑑賞法を特に若い人がするのは好きです。作品世界を全肯定して、作品の醸し出す世界と、アティストの人生を認める、こういう場所が無くなるのは、もったいないです。

「家具付きの貸家」マリー・ローランサンhttp://marielaurencin.jp/about/
マリー・ローランサン美術館 概要
webサイト: | web http://marielaurencin.jp |
住 所: | 東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ・ガーデンコート6F |
電 話: | 03-6261-6245 |
休 館 日 : | 月曜日 12/25 12/31~1/4 12/24は開館 |
開館時間: | 11:30~18:30(入館は閉館の30分前まで) |
入 場 料 : | 一般1,200円(1,100円)大学・高校900円 中学生以下無料( )内 15名以上の団体 |
アクセス方法
東京メトロ 赤坂見附駅 紀尾井町出口から徒歩3分
東京メトロ 永田町駅 7番出口から徒歩3分
東京メトロ 麹町駅 2番出口から徒歩6分
JR 四谷駅 麹町口・赤坂口から徒歩8分
2018年11月9日初出
2021年8月19日改訂