運慶・慶派イヤー最後の展覧会
昨年から始まった、運慶・慶派イヤーの最後の展覧会です。昨年秋の東京国立博物館の運慶展では。”運慶は真作でなくっちゃ”とバブリーな感覚で盛り上がりました。それが落ち着いて、”伝運慶作の仏像は、あっちこっちにあるよね。あれどうなの?“と感覚が通常に戻ったところで行ってまいりました。
運慶は優れた仏師であっただけではなく、新興のパトロン、源頼朝・北条政子ら鎌倉政権に近づき、重用されたか分る品も展示されています、鎌倉歴史文化交流館からは、廃寺となった永福寺の発掘品がまとめて来ていましたし。今回のキーヴィジュアル、瀧山寺梵天立像は、頼朝の従弟寛伝が頼朝の三回忌に作らせました。金沢文庫管理の源実朝ゆかりの大威徳明王像が展示。運慶と鎌倉新政権とのつながりが分りました。
展示の後半では、世の中には多くの、「伝運慶作」の仏像が多くの寺院にあるのか。そこには弟子・慶派の仏師が、良い仏像を作ったこともあります。運慶に仏像を頼むと願い事がかなった、霊験伝説もあったからでは!慶派の仏師たちの力作が展示されていました。
金沢文庫に行った翌日、鎌倉の室町時代創建の本覚寺に、梅かまくら特別参拝で行きました。通常は見せてもらえない、本尊の伝運慶作・阿弥陀如来像を拝見。阿弥陀様の髪の毛が、運慶発案の高く結い上げるお仏像でした。運慶展の仏様と形状が似ていました。運慶伝説が出来てもなるほどと感じました。
東京国立博物館 運慶展

鎌倉本覚寺 梅かまくら特別参拝の記事も追加しました。

展覧会の様子
金沢文庫に行くには、称名寺の赤い総門から入り、参道を通り、お寺詣り気分を盛り上げて、大きな仁王門、浄土式庭園で視界が開けます。朱塗りの太鼓橋を渡り本堂と阿弥陀堂に参拝し、池を回り込んで、境内左手のトンネルを抜けると金沢文庫に着きます。会場自体が中世にタイムトリップ。
平日の昼過ぎに行ったのですが、高齢者を中心に、かなりの人出でした。開始3週間目で1万人を超えたそうです。(神奈川県立金沢文庫 https://twitter.com/Kanagawa_bunko 2月3日tweetより)
会場の一階は北条氏・金沢氏と、称名寺の展示です。ここに鎌倉国宝館から辻薬師堂の十二神像の戌神が展示されていました。辻薬師堂の十二神将像は平安時代から江戸時代に制作された像です。戌神は鎌倉時代の作で、北条義時を救った運慶作から影響を受けていました。昔から鎌倉民に信仰されたお像が、導入になります。
2階から運慶展の展示になります。運慶は鎌倉新政権に食い込んで、頼朝創建の寺院の仏像を制作しました。頼朝が作らせた運慶の仏像は残ってないのですが、模作をしたと思われる仏像が残されています。これが運慶伝説になるわけか。
会場中央の裏表から見れるガラスケースに、運慶の本物、滝山寺梵天立像と、金沢文庫が管理している光明院大威徳明王像が展示してありました。注文主が頼朝の従弟と、頼朝の息子、頼家と実朝の養育係り、大弐局で、頼朝に近しい人でした。運慶の仏像は本当に美しいし、良い造形です。新しい造仏に次々と挑戦しました。カリスマなんです。
後半の展示の最初は、運慶伝説がよくわかる、鎌倉の光触寺の、阿弥陀三尊像と頬焼阿弥陀如来縁起絵巻からです。絵巻物には運慶も登場しています。仏師といえば運慶と東国でも知られるようになり、その仏像が奇跡を呼ぶことになる、伝説を持ったのが分ります。
関東の慶派の仏像と、運慶作の鶴岡八幡宮と、会場近い金沢八景駅そばの瀬戸神社の、舞楽面が展示されていました。運慶の真作は舞楽面でも迫力があります。うーん特別感。
感想、光触寺・教恩寺の仏さまが気になりました。
鎌倉民で鎌倉ブログも書いているので、惹き付けられたのは、鎌倉の仏像です。この展覧会を鎌倉民視線で、”あそこのお寺さんって、凄ーい!“で書きます。光触寺も教恩寺も小さなお寺で、観光寺院ではありません。
光触寺の、阿弥陀三尊像は秘仏で滅多に見らません。私もはじめて見ました。頬焼阿弥陀如来伝説のとおり、焼け焦げの跡がある仏像でした。運慶仏の側の展示でしたが、堂々と張り合えるふくよかなお像でした。絵巻物と合わせてみると、運慶さんが霊験あらたかだったのか、よくわかります。
鎌倉国宝館の、優美なる慶派の仏展で展示された、大町の住宅街にひっそりとある教恩寺の、阿弥陀如来立像両脇侍も展示されていました。快慶の作風に近いとされている仏様です。伝説では、捕らえられた平重衡に、頼朝が念持仏として与えたという伝説があります。快慶と鎌倉幕府との関わりは分からないそうですが、今後の研究を待ちたいものです。
鎌倉文庫に行った翌日、近くに所要があったので、教恩寺に行ってきました。見るところもない小さなお寺です。前日の余韻を味わいました。画像は鎌倉国宝館のtweetです。
出陳中の教恩寺の阿弥陀如来及び両脇侍像は、平重衡の念持仏と伝わります。すっきりとした端正なお顔の阿弥陀如来像や、腰をかがめた姿の両脇侍像は鎌倉時代の仏師・快慶(かいけい)の作品によく似ています。快慶と鎌倉のかかわりははっきりと知られないため、快慶風の本像の存在はとても貴重です。 pic.twitter.com/ZEE95Dl3Wx
— 鎌倉国宝館 (@kamakura_museum) 2017年5月9日
光触寺

教恩寺


神奈川県立金沢文庫 運慶展の看板
2017年2018年は運慶・快慶・慶派イヤー
鎌倉国宝館 鎌倉の至宝 優美なる慶派のほとけ展 2017年4月22日~6月4日


横須賀市 浄楽寺 運慶仏特別公開 2017年4月28日~5月28日、10月19日 2018年3月3日~5日 10月19日 予約すれば拝観できます、詳しくはサイトで。

神奈川県立金沢文庫 特別展運慶 2018年1月13日~3月11日
運慶の弟子で鎌倉に行った仏師たちは、鎌倉仏師と呼ばれました。禅宗と唐物が熱狂的に迎えられた鎌倉では、仏師たちは京都とも奈良とも違う道を辿りました。鎌倉彫には仏教が宿っているのです。

運慶展 鎌倉幕府と霊験伝説 展 概要
w e b: | サイト https://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/bunko/tenji.html twitter https://twitter.com/Kanagawa_bunko |
会 期: | 2018年1月13日(土)~3月11日(日) |
会 場: | 神奈川県立金沢文庫 |
休 館 日 : | 月曜日 2/12は開館2/13は休館 |
開館時間: | 9:00~16:30 (入館は閉館の30分前まで) |
入 場 料 : | 一般800円(700円)20未満及び学生600円(700円) 高校生100円(100円)中学生以下無料 65歳以上200円(100円) ( )内 20名以上の団体 各種障がい者手帳お持ちの方は、本人と介護者一人まで無料 詳細はサイトで |
神奈川県立金沢文庫アクセス方法
webサイト: | web https://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm twitter https://twitter.com/Kanagawa_bunko |
住 所: | 神奈川県横浜市金沢区金沢町142 |
電 話: | 045-701-9069 |
アクセス方法 webページ
京浜急行 金沢文庫駅
徒歩12分
東口より 京浜急行 バス13番 金沢文庫駅⇔柴町 称名寺バス停下車
シーサイドライン 海の公園南口駅 徒歩15分

称名寺から金沢文庫へのトンネル