鎌倉時代の仏像といえば、運慶・快慶です。
歴史の授業で鎌倉時代、平家による奈良の大仏殿などが焼け落ちた、南都焼き討ちの復興で、東大寺南大門の金剛力士像を、奈良の仏師、運慶・快慶が作ったことが有名です。平安時代の仏像と違い、リアルな作風で鎌倉武将に好まれました。
運慶は鎌倉に来て、源実朝の持仏堂の釈迦如来像、大倉薬師堂の薬師如来像、勝長寿院(廃寺)五大尊像を作った記録があります。現在運慶の真作とされる仏像は鎌倉にはありません。鎌倉近辺では、金沢八景の称名寺の大威徳明王像、横須賀市の浄楽寺の阿弥陀三尊像・不動明王立像・毘沙門天立像があります。
運慶の系譜に連なる慶派の仏師は、鎌倉武将の好みで、鎌倉でも仏像を残しました。そんな慶派の仏像の、鎌倉国宝館で鎌倉の慶派の仏様の展覧です。
快慶に非常に似ている、教恩寺の阿弥陀如来三尊像
大町の教恩寺はこじんまりとしたお寺です。ここに快慶の作風に近いとされる仏様があります。いつもは拝見することができない阿弥陀三蔵像がいらしてました。寺伝によると、南都焼き討ちを行った、平重衡が鎌倉に連行されたとき、頼朝から帰依仏として与えられたのが、この阿弥陀三尊像だと云われています。
出陳中の教恩寺の阿弥陀如来及び両脇侍像は、平重衡の念持仏と伝わります。すっきりとした端正なお顔の阿弥陀如来像や、腰をかがめた姿の両脇侍像は鎌倉時代の仏師・快慶(かいけい)の作品によく似ています。快慶と鎌倉のかかわりははっきりと知られないため、快慶風の本像の存在はとても貴重です。 pic.twitter.com/ZEE95Dl3Wx
— 鎌倉国宝館 (@kamakura_museum) 2017年5月9日

実朝の持仏の伝説を持つ、泰野市の金剛寺、阿弥陀三尊像
教恩寺の三尊像と同じ大きさの三尊像で、向かい合わせに展示されていて、見比べてが出来てました。どことなく優美な雰囲気が共通しています。運慶の三代将軍源実朝の持仏が金剛寺に伝来したと云われています。慶派の肥後定慶に近い作風。
源実朝ゆかりの秦野市・金剛寺には、阿弥陀如来及び両脇侍像が伝わります。なかでも両脇侍像は鎌倉時代前期にさかのぼる秀作です。装飾的な頭髪表現や柔軟な立ち姿は、運慶派の仏師・肥後定慶(じょうけい)の作風に通じます。重厚さの目立つ鎌倉の仏像とはひと味ちがった優しい姿のほとけさまです。 pic.twitter.com/RiTxbv8cOS
— 鎌倉国宝館 (@kamakura_museum) 2017年5月13日
絵巻物に描かれた運慶
運慶が描かれた絵巻物、「頬焼阿弥陀縁起絵巻」には、運慶は僧侶で袈裟をまとっていました。絵では細身で穏やかな人のようです。畳敷きの部屋で(畳があるということは有力者の家)で、赤い小袖の女性と面会のようす。この巻物は十二所の光触寺のもので、鎌倉国宝館に寄託されています。
展覧会タイトルにある「慶派」とは、運慶の父、康慶にはじまる仏師の系統で、その多くが運慶、快慶のように「慶」がつく名前をもちます。展示中の「頬焼阿弥陀縁起絵巻(光触寺・重要文化財)」には運慶の姿が!会期も残りわずか。実在の仏師の姿が描かれた希少な作品を、お見逃しなく! #鎌倉 pic.twitter.com/aNPAAICYw1
— 鎌倉国宝館 (@kamakura_museum) 2017年5月31日

2017年は運慶・快慶イヤー、展覧会が目白押し!
運慶・快慶にまつわる展覧会。御開帳の情報をまとめておきます。
快慶展 奈良国立博物館 2017年4月8日~6月4日
鎌倉国宝館 鎌倉の至宝 優美なる慶派のほとけ展 2017年4月22日~6月4日
運慶展 東京国立博物館 2017年9月26日~11月26日

※東京国立博物館の運慶展のサイトをチェックしたところ。2017年6月4日現在、浄楽寺から出展しないようです。これは運慶展開催中でも浄楽寺の秋の公開に行った方がよいようです。
※2017年8月21日に運慶展の作品リストがでました。それによると、浄楽寺の運慶像は、阿弥陀如来坐像および両脇侍立像は、秋の公開後の10月21日から、不動明王立像と毘沙門天立像は通期で展示されます。
横須賀市 浄楽寺 運慶仏特別公開 2017年4月28日~5月28日、10月19日 2018年3月3日
(予約すれば拝観できるそうです、詳しくはサイトで。)

神奈川県立金沢文庫 特別展運慶 2018年1月13日~3月11日


鎌倉国宝館 優美なる慶派の仏展
鎌倉の至宝 優美なる慶派のほとけ展 概要
w e b: | 展覧会ページはこちら 鎌倉国宝館 twitter https://twitter.com/kamakura_museum |
会 期: | 2017年4月22日(土)~6月4日(日) |
会 場: | 鎌倉国宝館 |
休 館 日 : | 月曜日 5/1開館 |
開館時間: | 9:00~16:30(入館は閉館の30分前まで) |
入 場 料 : | 一般500円(400円)中学・小学200円(100円)( )内、20名以上の団体、各種障がい者手帳を受けた方と、その付き添い者1名は無料 詳細はサイトで。 |
鎌倉国宝館は20~30分で見学できます。
鎌倉国宝館アクセス方法
webサイト: | http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kokuhoukan/index.htm twitter https://twitter.com/kamakura_museum |
住 所: | 鎌倉市雪ノ下2-1-1 |
電 話: | 電話番号:0467-22-0753 |
入場時間 : | 9:00~16:30(入館は16:00まで) |
入 場 料: | 展覧会により変わります。 |
アクセス方法 アクセスページ
最寄駅:JR横須賀線線鎌倉駅・江ノ島電鉄鎌倉駅
徒歩 :鎌倉駅東口より15分
バス :江ノ電バス「鎌倉八幡宮」停留所もしくは京急バス「大学前」停留所から徒歩約3分
自動車:横浜横須賀道路「朝比奈」ICから車で約20分
鎌倉国宝館の企画展
2017年 鎌倉公方足利基氏展

2017年 優美なる慶派の仏展

2016年 氏家コレクション

2015

2017年5月18日初出
2017年6月2日加筆
2017年8月21日改訂・加筆
鎌倉の、ヴィジュアルの良いところを紹介する、ガイド記事を、目指して書いています。
ブログを書くときは、実際に神社仏閣に行って、情報を足で歩いて探して書いています。今のところ有名な名所が、抜けていますが、ご容赦ください。鎌倉市内の観光エリアの寺院はすべて取り上げる予定です。
当ブログ管理人 山本は鎌倉に住んで47年になります。鎌倉市民だから知っている、情報も書きます。他で読むことのない、鎌倉観光情報サイトにいたします。
鎌倉らしい日本の古典デザインの、家具をデザインしたいと思っています。鎌倉の名所めぐり、勉強になります。デザインのヒントもいただけて、ワクワクしながら、取材しています。