速水御舟のファンも新鮮な驚き!創作の全貌が分る展示。
山種美術館は御舟の絵を120点も所蔵、昭和になってからの重要文化財「炎舞」「名樹散椿」も持っています。所蔵品を中心にした展覧会は何度も行われています。
今回は、御舟作品の全貌を展示するため、他の美術館から来た作品も含めての展示になります。作風を次から次へと飽くことなく変えた、御舟。「こんな絵も描いていたの!」驚きがありました。
もちろん、山種の誇る「翠苔翠芝」「名樹散椿」「炎舞」「墨牡丹」も展示されています。御舟ファンが喜ぶ展覧会となっております。
速水御舟の全貌展のブロガー内覧会に行ってきました。
御舟を見に、何回も山種美術館に行っています。
日本画家の速水御舟が好きで、10代のころから、何回も山種美術館に行っています。山種が兜町にあった頃からです。幻想的で兎がいる「翠苔翠芝」端正な美しさの「名樹散椿」。美術の教科書で見て気に入り、母に連れていってもらったのが初めてでした。
また今回も、山種美術館からの速水御舟展のお知らせを知り、のこのこと山種美術に行きました。
ブロガー内覧会の様子、参加者が多い!
今回の特徴は、参加人数が多い、男性が多い。そして着物姿の女性が少ない。これは速水御舟の展覧会だからでしょうか。ガチでエントリーを書くブロガーが多いから?御舟のストイックさが男性を呼んだ?
速水御舟の研究者でもある、山種美術館3代目山崎館長のギャラリートークが展示室で行われました。御舟の遺族・弟子に直に取材されたそうで、そのお話も聞けました。
一部の作品の写真撮影が、許可されましたので、また今回も写真を撮ってまいりました。
後半はカフェスペースで、特製和菓子を頂きながら、山崎館長と、ブログ「青い日記帖」のTakさんとのトークでした。今回は掛け合いが面白かったです。

速水御舟 「名樹散椿」 部分 山種美術館のブロガー内覧会で特別に許可され撮影しました。
山崎館長のギャラリートークを紹介。
梯子(はしご)の頂上に登る勇気は貴い(とうとい)、さらにそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つものは更に尊い
速水御舟の言葉
わずか40歳の生涯で、幾度も絵の作風を変えた、御舟。作風を次々と変えてゆく画家は他にいません。あくなき探究心と超絶技巧を持った画家の、作品の全貌がここにありました。
速水御舟の「青の時代」
「東山魁夷だ!」と叫びたくなる作品が御舟にありました。大正7年ころ、御舟も画壇も、群青(ぐんじょう)色、緑青(ろくしょう)色がブーム「群青中毒」になりました。御舟はこの時代ことを「群青の時代」と呼んでいます。
京都に住んでいたとき、家の近くの風景を写生して描かれてものです。今も修学院離宮のそばに行くと、この光景が広がっているそうです。(民家は建て替えられていますが。)
この後、御舟は青色を前面に出した、「東山魁夷」的な絵を描いていません。

速水御舟「洛北修学院村」滋賀県立近代美術館http://www.yamatane-museum.jp/exh/2016/gyoshu.html
実は超リアル、「翠苔翠芝」
琳派に影響を受けた金屏風に、苔に覆われた築山に天使のような兎、印象はこの世ならぬファンタスティックな光景です。大胆な構図もさりながら、木や花、苔や芝、兎を見ると実に細かく描かれていて、細部が精密です。
奥様のお話では。すべて目黒のご自宅のお庭や近所にあった光景だそうです。野生のうさぎが庭で遊んでいたのでしょう。リアル・リアルの積み重ねと超絶技巧で、幻想的な屏風になりました。
昭和5年の制作で80年以上の絵なのですが、剥落など一切ないそうです。山崎館長が奥様とお弟子さんにインタビューしたところ。紫陽花の部分には、薬品やら重曹が使われた証言がありました。革命的な作品を描いて、何十年たっても剥落しないのは御舟のすごいところです。
兎の動きがなんとも可愛いです。

速水御舟「翠苔緑芝」山種美術館所蔵http://www.yamatane-museum.jp/exh/2016/gyoshu.html
超絶″蒔きつぶし”「名樹散椿」
速水御舟は画家の修行をする前に、蒔絵師の修行をしていました。制作した櫛の展示もあります。そして金屛風の金の貼り方の技法を、何種類も使い分けていました。
「名樹散椿」では、金の砂子を蒔き、それで画面を埋めていくことをしています。他の技法で使うより何倍も砂子がいるそうです。近くで見るとよくわかるのでが、金がフラットでムラが全くありません。蒔絵職人であった御舟ならでわの技法です。
京都の寺院にある有名な五色椿を描いたものです。夫人の話では目黒の自宅にも、同じ五色椿を植えていたのだそうです。

速水御舟 「名樹散椿」 部分 山種美術館のブロガー内覧会で特別に許可され撮影しました。

速水御舟 「名樹散椿」 山種美術館のブロガー内覧会で特別に許可され撮影しました。
他の画家が描いても成功しない、黒い牡丹。
速水御舟のこれも代表作です。作品名は「牡丹」、この黒い牡丹が印象的で「墨牡丹」とも呼ばれます。
山崎館長さんのお話だと、他の画家も「墨牡丹」に触発されて随分描いているのですが、上手くいっていません。御舟の黒牡丹には秘密があって、花びらを多めに描いています。確かによく見ると実物の牡丹より花びらが密集しています。
会場には牡丹の花の写生帖も展示されていました。鉛筆書きから色を塗り完成するまでを絵巻にしたものです。日本画を描く人には参考になりそうです。

速水御舟「牡丹花(墨牡丹)」山種美術館 ブロガー内覧会で特別に許可され撮影しました。
妖しい舞の秘密「炎舞」
速水御舟の代表作「炎舞」は、ミュジアムショップの奥の、第二展示室にあります。忘れずに拝見しましょう。小さく、明かりも落とした部屋の、中央に展示されていました。
この妖しい蛾の舞に魅了されますね。研究者によると蛾の半数の種類が判別できて、他に柄を反転したものと創作の蛾がいるそうです。焔のまわりを飛ぶ蛾たちは、いまにも火に落ちそうな動きです。
山崎館長より、また一つ秘密が明かされました。蛾が動いて見えるのは、
蛾が正面を向いて描かれている。
蛾は輪郭をぼかして描いている。
だからそうです。

速水御舟 「炎舞」 部分 山種美術館のブロガー内覧会で特別に許可され撮影しました。

速水御舟 「炎舞」 山種美術館のブロガー内覧会で特別に許可され撮影しました。
鈴木其一は、正面向きで描く人です。

ヨーロッパから帰国、「ダメだデッサン力がない!」で勉強会はじめました。
速水御舟は14歳で歴史画の松本楓湖の画塾に入りました。画塾は放任教育で、そこで頭角を現した御舟でした。昭和5年にヨーロッパから帰国後、自身のデッサン力のなさを痛感した御舟は、すでに成功した大家でありながら、弟子たちとデッサンの勉強会をはじめました。
「一度登った梯子を、また降りて登る。」あくなき探究心です。

速水御舟 「フィレンツェ アルノ川の家並」 写生 山種美術館のブロガー内覧会で特別に許可され撮影しました。

速水御舟 「オリンピアス神殿遺址」 山種美術館のブロガー内覧会で特別に許可され撮影しました。
お得情報
☆会期中、きものでご来館のお客様は、団体割引料金となります。
☆学芸員による、ギャラリートーク 10/12、19、26、11/2の各水曜日
午前10時30分~(所要時間約40分)先着25名
☆速水御舟の全貌展 特製和菓子 青山の菊屋特製の和菓子が、一階カフェ椿でお召し上がれます。購入もできます。

速水御舟の全貌展 特製和菓子 ブロガー内覧会で許可を得て撮影
速水御舟の全貌展 概要
開館50周年記念特別展
速水御舟の全貌ー日本画の破壊と創造ー
詳しくはサイトで、確認してください。
w e b: | 展覧会ページ http://www.yamatane-museum.jp/exh/2016/gyoshu.html twitter https://twitter.com/yamatanemuseum Facebook https://www.facebook.com/yamatanemuseum Facebook内覧会特設 https://www.facebook.com/hayamigyoshu/ |
会 期: | 2016年10月8日(土)~12月4日(日) |
会 場: | 山種美術館 |
休 館 日 : | 月曜日 10/10は開館、10/11は休館 |
開館時間: | 10:00~17:00(入館は16:30まで) |
入 場 料 : | 一般1,200円(1,000円)・大高生900円(800円)・中学生以下無料 ※( )内は20名以上の団体料金および前売料金。 ※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料。 ※きもの割引:会期中、きものでご来館のお客様は、団体割引料金となります。 ※ 複数の割引の併用はできません。 |
山種美術館アクセス方法
webサイト: | http://www.yamatane-museum.jp/ twitter https://twitter.com/yamatanemuseum Facebook https://www.facebook.com/yamatanemuseum |
住 所: | 東京都渋谷区広尾3-12-36 |
電 話: | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
アクセス方法 webページ
電車 | JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅 2番出口 | 徒歩約10分 |
バス | 恵比寿駅前 日赤医療センター前行都バス(学06番) | 広尾高校前 下車徒歩1分 |
渋谷駅東口 日赤医療センター前行都バス(学03番) | 東4丁目下車徒歩2分 |
江戸絵画への視線展


出光美術館 美の祝祭Ⅲ江戸絵画の華やぎ 伴大納言絵巻


奥村土牛展 山種美術館

