泉鏡花の書斎が、はじめて再現されました。
泉鏡花の遺品は何で慶應図書館に寄贈されたのか?
泉鏡花は慶應大学と縁がありました。大人気ベストセラー作家になった鏡花は、明治の末早稲田系の自然主義の台頭で、追い詰められました。鏡花は、数年間逗子に引っ込むほど打撃をうけました。そんな鏡花を支持したのは水上瀧太郎、久保田万太郎、佐藤春夫ら慶應出身の三田派の作家たちでした。
昭和14年に泉鏡花が亡くなり翌年鏡花の遺品は、水上瀧太郎のあっせんにより慶応義塾に寄贈されました。持っていた本は戦争中に爆撃で焼失しましたが。遺品と自筆原稿は図書館の地下に保管されていたので残りました。
今回、今まで実現出来なかった、泉鏡花の書斎の再現ができました。兎のコレクションや自筆原稿をはじめとする、研究書でも触れられている、あの品物、この品物が展示されていました。
書斎の再現コーナー
わたしは谷崎潤一郎と鏑木清方から泉鏡花に行きました。大学生時代は大学の図書館で鏡花全集を読でいました。そのころ多少研究書も読んでいます。選集は数冊持っています。
今回の展示物を見て、印象が違うなというものはありませんでした。初見の物が大半でしたけれど。わたしにはデジャブ感がありました。
書斎で使っていた品々は、鏡花が長年手元に置いていただけあり、華奢で、こざっぱりして、江戸の香りのする物でした。大きな兎の手あぶりが目を引きました。源氏香の細工の付いた、小さな文机で原稿を書かれていたのでした。
兎コレクション
泉鏡花といえば、ウサギのグッズを集めていたことで有名です。その兎たちとも会えました。鏡花の干支が酉で、その反対側の干支で兎を集めていたそうです。コレクションのはじまりになった、お母さんからもらった、水晶の兎も展示されていました。
毎年正月の準備で、鏡花は屠蘇にかけるため布に松竹梅の絵を描きました。なかなか達筆な松竹梅でした。
信心深い鏡花が、知り合いからもらった御札を、すべて残していたのも展示されていました。
会場の入り口には、鏡花が執筆に行き詰まると、原稿に清めの水を振りかけるのに使った御神酒徳利と丸眼鏡と筆が展示されてました。鏡花は近眼だと聞いていましたが、レンズが厚くて驚きました。
\展示会開催中(~11日)/
書斎にいるうさぎは、手あぶり、木製の紙切り、水滴の3点です。机の脇にある木製小箪笥(写真)の中もぎっしりうさぎグッズが入っていましたが、今回出してケースで展示しました。箱や小さい箪笥は開けるとたいてい沢山のうさぎが潜んでいます。(TT) #鏡花展 pic.twitter.com/FSBFlLMfgn— 慶應義塾大学三田メディアセンター (@Keio_MitaLib) 2016年10月7日
行けなかった鏡花ファンへ
Twitterに展示の様子が出ています
慶応義塾大学三田メディアセンターのTwitterに会場の様子や、図録に出ていない情報もツイートされています。アカウントがなくてもこちらから読めます。
慶応義塾大学三田メディアセンター https://twitter.com/keio_mitalib
\展示会開催中!(10/5-11)/
ご来場いただいた皆様、ありがとうございます。もし見てよかったと思ったら、奥ゆかしく心の内のみに留めず、ぜひ広く世間に公表お願いします。又はお知り合いに宣伝いただけるとありがたいです。展示は朝9時~夜9時(11日のみ16時迄)(TT) pic.twitter.com/2CGVxAOKgB— 慶應義塾大学三田メディアセンター (@Keio_MitaLib) 2016年10月5日
水木しげるの鏡花伝
妖怪漫画家の水木しげる先生の「水木しげるの鏡花伝」のパネル展示がありました。受付で図録の隣に並べられていました。「高野聖」と「黒猫」の漫画も収録されています。妖怪界の巨匠二人のコラボレーション、いつか拝読させて頂きとう御座います。
慶應図書館のサイトで、図録が買えます。
展覧会の図録を買いました。1,000円です。泉鏡花ファンや、卒論で鏡花を取り上げる学生さんは手に入れておいた方がよろしいです。慶應図書館のサイト内に過去の刊行物のページがありますので。ここから買えます。
10/10現在、まだ開催中のためか「泉鏡花の書斎展」の図録は上がっていませんでした。
「鏡花の書斎展」の図録の販売が始まりまりました。慶應図書館の受付でも買えます。
慶応義塾大学図書館サイト内、刊行物の販売ページ
金沢の鏡花記念館のリンク
泉鏡花記念館 http://www.kanazawa-museum.jp/kyoka/index2.html
泉鏡花記念館Twitter https://twitter.com/izumikyokamuse 鏡花の情報をマメに伝えてくれます。
泉鏡花の書斎展 概要
第28回慶應義塾図書館貴重書展示会 「鏡花の書斎-「幻想」の生まれる場所-」
w e b: | 特別サイト 鏡花の書斎-「幻想」の生まれる場所- twitter https://twitter.com/keio_mitalib |
会 期: | 2016年10月05日(水)~10月11日(火) |
会 場: | 丸の内オアゾ 丸善・丸の内本店 4階ギャラリー |
会場住所: | 東京都千代田区丸の内1-6-4 オアゾ |
会場Web: | http://www.marunouchi.com/shop/detail/2015 |
会場へのアクセス: | 最寄駅 JR・東京メトロ丸ノ内線 東京駅下車 丸の内北口前 |
休 館 日 : | 会期中無休 |
開館時間: | 9:00~:2100 最終日16:00 |
入 場 料 : | 無料 |
2016年10月10初出
2016年10月20日加筆