安土桃山時代の、秀吉、家康が作らせた建物。
安土桃山時代の建物として、内苑にある、旧天瑞寺寿塔覆堂と月華殿、京都の高台寺の橋を模して掛けられた、亭榭を紹介します。
豊臣秀吉・徳川家康が建設させた建物が、横浜の三渓園にあります。今年2016年大盛り上がりの大河ドラマ「真田丸」のファンでしたら、足を運んでみてください、
公式サイトより、写真多めで行きます。建物の細部が分るように、Photoshop(画像編集ソフト)を頑張ります。
旧天瑞寺寿塔覆堂(きゅうてんずいじじゅとうおおいどう)重要文化財
旧天瑞寺寿塔覆堂は豊臣秀吉が命じて建てたと、確証できる建物です。明治38年に三渓園に移築されました。
寿塔とは、人が生きているうちに長寿を願い、建てるお墓です。覆堂は中の石塔を保護するために、作られたお堂です。
天正19年(1591)に豊臣秀吉が母の大政所の健康を祈り、京都大徳寺天瑞寺に建てました。同年9月には、秀吉が朝鮮出兵で九州に行ったので、遠く離れる母への気づかいです。翌年大政所は亡くなりました。
旧天瑞寺寿塔覆堂は、華麗な彫刻のほどこされた四坪ほどの建物です。梁間三間、桁行三間、屋根は入母屋作り本瓦葺。唐破風の下の虹梁の上には、彫刻付きの蟇股、上部の彫刻は迦陵頻伽、その上の彫刻は雲と楽器を透かし彫りにしています。建立当時は、彩色がほどこされ、金具も輝いていました。
江戸時代の日光東照宮の彫刻などと比べると、面白いことが分かります。旧天瑞寺寿塔覆堂は大変手の込んだ彫刻なのですが、扉の上部のブロックと扉の上部分と、唐破風の下の蟇股の周囲と、限られた部分にしか、彫刻がありません。実際に行ってみると、堂の脇と後ろには一切装飾がありません。飾り立てる所が部分的なのです。
ド派手だと思われがちな、秀吉の桃山文化では、彫刻の飾りが限られたところしかなく。江戸時代になってからの、建築装飾が際限なくされるようになった、違いがあります。安土桃山文化と江戸初期の文化との違いがあるのも面白いです。

三渓園 旧天瑞寺寿塔覆堂

三渓園 旧天瑞寺寿塔覆堂

三渓園 旧天瑞寺寿塔覆堂 扉の迦陵頻伽の彫刻
月華殿(げっかでん)重要文化財
旧天瑞寺寿塔覆堂が秀吉なら、こちらの月華殿は家康が発注して、伏見城内に建てさせました。
月華殿は慶長八年(1603)徳川家康が将軍宣下を受けるために、伏見城に建てられました。その時の諸大名の控え室として使われました。伏見城取り壊し後は、宇治の茶の商人から寺院の客殿になり、大正九年に原三渓が三渓園に移築しました。
屋根は檜皮葺の入母屋づくり、庇は杮葺き。内部は檜扇の間十二畳半と竹の間十五畳からなります。檜扇の間には檜扇、竹の間には竹の絵が描かれています。欄間には狩野永徳の下絵の菊花の透かし彫りがあります。
徳川家康らしい、シックで落ち着いた建物です。安土桃山時代の典型的な書院造りの建物です。

三渓園 月華殿 手すりのデザインが面白いです。

三渓園 月華殿

三渓園 月華殿
亭榭(ていしゃ)
亭榭(ていしゃ)は、京都の高台寺の観月台を、模して造られました。残念ながらこちらは、安土桃山時代のオリジナルの移築ではありません。観月台と同じく檜皮葺に唐破風です。
三渓園の内苑の庭園の、フォーカルポイントです。
高台寺は、豊臣秀吉の正室寧が出家した寺です。近くに豊臣秀吉が命じて建てさせた、旧天瑞寺寿塔覆堂があります。庭園の向こうには、原三渓が聚楽第の建物の一部と信じていた、臨春閣が見えます。
絢爛豪華な安土桃山時代の京都の、聚楽第も桃山城の庭も、こうだったのかと想像をかきたてられます。

三渓園 亭榭

三渓園 亭榭

三渓園 亭榭 この擬宝珠のデザインがどこから来たのか知りたい。
三渓園の各建物の、紹介
内苑
御門(ごもん) 横浜市指定有形文化財
京都東山の西方寺より、海岸門ともに移築されました。薬王門です。


三渓園 内苑の御門
白雲邸(はくうんてい) 横浜市指定有形文化財
臨春閣(りんしゅんかく) 重要文化財
旧天瑞寺寿塔覆堂・月華殿・亭榭 豊臣秀吉・徳川家康ゆかりの建物

旧天瑞寺寿塔覆堂(きゅうてんずいじじゅとうおおいどう) 当ブログ
月華殿(げっかでん)当ブログ
亭榭(ていしゃ)当ブログ
金毛窟(きんもうくつ)茶室 重要文化財
天授院(てんじゅいん) 重要文化財
鎌倉の建長寺の塔頭より移築された、禅宗様式の仏堂です。原家の持仏堂になります。


三渓園 天授院
聴秋閣(ちょうしゅうかく) 重要文化財
春草廬(しゅんそうろ)茶室 重要文化財
蓮華院(れんげいん)茶室
海岸門(かいがんもん)
京都の東山西方寺より、御門とともに移築されました。


三渓園 海岸門
三渓記念館
三渓記念館は、内苑の入り口にあります。ミニ美術館とミュジアムショップと、抹茶処があります。立ち寄ることを、おススメします。

三渓園 三渓記念館 望塔亭の抹茶
鶴翔閣(かくしゃうかく)
原三渓の自宅、明治35年(1902)建設。平成12年修復工事。
※毎年8月に公開されます。
2016年8月の公開の様子。室内の写真が見れます。


三渓園 鶴翔閣の玄関
外苑
旧燈明寺三重塔(きゅうとうだいじさんじゅうのとう)重要文化財
松風閣 展望台
林洞庵(りんどうあん)茶室
初音茶屋(はつねじゃや)休憩所
梅林 臥龍梅
寒霞橋
横笛庵(よこぶえあん)茶室
旧東慶寺仏殿(きゅうとうけいじぶつでん)重要文化財
鎌倉の駆け込み寺で有名な東慶寺よりの、移築。江戸初期の禅宗様式。

旧矢箙原家住宅(きゅうやのはらけじゅうたく)合掌造り 重要文化財 いつでも見学できます。
旧矢箆原家住宅は、岐阜県大野郡荘川村にありました。昭和32年、ダム工事にともない水没することになり、三渓園に移築されました。
江戸末期に建てられ、一階は飛騨の大工の作った、書院と農家。屋根裏部屋は村人が共同で作った合掌造りです。内部の見学ができます。

三渓園 旧矢箆原家住宅

旧燈台寺本堂(きゅうとうだいじほんどう) 重要文化財
三渓園 アクセスデータ
w e b: | http://www.sankeien.or.jp/index.html |
住 所: | 神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1 |
電 話: | 045-957-0634 045-957-0635 |
休 園 日: | 12月29日・30日・31日 |
開館 時間: | 9:00~17:00(入園は閉園の30分前まで) |
駐 車 場: | 乗用車 最初の2時間500円、以降30分毎100円当日最大1,000円 バス 駐車時間に制限なく、1利用につき1,000円 |
入 場 料 : | 大人(中学生以上)500円(400円)小人(小学生)200円(100円) ( )内、20名以上の団体、大人・小人の区別はありません。 学生だけで構成された団体は、学生団体入園料金250円 回数券、年間パスポート、前売券 入園料免除(無料)の規定もあります。詳しくはこちらに。 |
アクセス方法
web交通ページ http://www.sankeien.or.jp/access/index.html
電車・バス
電車 駅名 | バス乗り場 | バスの系統 | 降りるバス停 |
JR京浜東北線 根岸駅 | バス1番乗り場 | 横浜市営58・99・101系統 | 本牧 下車徒歩10分 |
JR 東急 京急 相鉄 市営地下鉄 横浜駅東口 | バス2番乗り場 | 横浜市営8・148系統 | 本牧三渓園前 下車 徒歩5分 |
JR京浜東北線 桜木町駅 | バス2番乗り場 | 横浜市営8・148系統 | 本牧三渓園前 下車 徒歩5分 |
市営地下鉄元町・中華街駅 4番出口 | 山下町バス停 | 横浜市営8・148系統 | 本牧三渓園前 下車 徒歩5分 |
2016年9月15日初出
2022年2月13日改訂