「英国のインテリア史」について
図説 英国のインテリア史 トレヴァー・ヨーク(Trevor Yorke)著 村上リコ訳 マール社 1,706円(本体1,580円)
著者のトレヴァー・ヨークは、インテリア・デザインの仕事をしながら、イングランドの建築について夜間クラスで学びました、現在までに、英国の驚異的な建築や工学技術について30冊ほどの本を出しているそうです。これは是非拝見したいものです。
表紙を見ただけでも、イラストが暖かいです。インテリア史の本では写真や画家の画風によっては、冷たく感じます。それがとっつきの悪い本になります。トレヴァーさんのイラストは専門の学校に通っただけあって、細かいところまで描き込まれています。資料として、学習にも有効です。
イギリスのインテリアの歴史で、一般人の住む家のインテリアを書いています。王族の城や、教会などの公的な場所ではなく、個人の住宅のインテリアです、はじめの方の章は貴族や地主階級のものも取られています。ヴィクトリア朝後期からは庶民の家です。
ここで取あげられているインテリアは、イギリス国内で、公開されているものだそうです。
情報量の多い本です。
80ページの可愛いイラストの本。
この本を手に取ると、思っていたより、判が小さく薄い本でした。amazonで注文したので意外でした。著者のトレヴァー・ヨークさんの、多くのイラストと図解で、間取りから、階段の構造など建築の解説、もちろん多くの家具が紹介されています。
表紙を見ただけで分かるかと思いますが。結構カワイイ絵柄です。日本人のカワイイ系のイラストレータが書きそうな絵です。なかなか侮れないです。細部まできちんと描いているものもあり、家具インテリアの勉強をしている人はもとより、漫画イラストを描いてる人にも役に立ちそうです。イギリス物を書いているひとは買った方がよろしいかと。
生活文化史は、自国民が書いた方が良い。
衣食住についての著作は、自国民の書いたもの方が良いのかと、数百年前のことでも、感覚的に理解できる部分が多々あるからでしょう。
優秀な外国人が、現地に滞在して研究して、立派な本を書いても、感覚的なものは、自国民には、追いつけないです。これは仕方がないです。
1840~50年代には、古典様式をかたく守ろうとする人びとと、自国産のゴシック様式がよりふさわしいと考える人びととのあいだでせめ合が起きていた。
初期ヴィクトリア様式 46ページ
古典様式はイタリア・フランス生まれだから、イギリス人が嫌った時期があったとわ、知りませんでした。
1930年代の居間:この時代のいまの多くは、上記のように古いものと新しいものものを混ぜていた。たとえばラジオ、サイドボード、肘掛け椅子、暖炉はアールデコ様式だが、敷物、床板、ピアノは前の世代のおさがりだ。
戦間期および戦後の様式 69ページ
こういったことは、イギリスに先祖代々住んでいる人でないと、言えないな。
インテリアにこだわりがなくても、手に取ってください。
肩肘はらない、読み物として読んでも楽しめます。イラストを見ているだけでも、英国人の住いに対する、並々ならぬ愛情を感じられます。
この本をおすすめしたい人は、と問われたら、私はすべての人と答えたいです。素敵なイラストを眺めているだけで楽しい本です。
ウィリアム・モリスと英国の壁紙展 そごう美術館 2019 モリスって天才そして商売上手だと思ってしまいました。




