バルテュスの秘密の写真展へ行く
上野のバルテュス展鑑賞記の投稿で予告いたしました、丸の内の三菱一号館の史料室で開催の「バルュス最後の写真 -密室の対話」展に行って参りました。
http://koten-kagu.jp/2014/06/16/syumi-18/

三菱一号館
場所は、経済の魔境、丸の内の三菱一号館、弱肉強食、富豪の地獄の一丁目、善良なる市民と没落者変じて詐欺師が行き交う、経済の天国と地獄が隣り合う場所。知らない人は知らなくていいんだよ。私は見たよ億の現金と、8ケタの手形と、そしてその先にあったことも。勝者の合言葉は「自己責任」。敗者の合言葉は「私は悪くない」。

魔境を隠すには薔薇
魔境を隠すには、英国風に薔薇が有効かと、中庭の植栽に植えられております。
中には、お店も、レストランもあって、多くの人々が、なごんでおりました。私でさえ魔境であることを忘れてしまい。
ジュエル・ロブションでケーキ食べちゃいました。(自己責任だろうに甘い女だ!)
いかん会場に行かねば、

会場入り口、完全にあやしい
ここに入るためには、魔道の心得があると証明せねばならぬ、

バルティス写真展
こちらを、取り出しました。
8歳の少女はモーツァルトを歌っていた
晩年のバルテュスが、8歳の彼女を見つけた時、少女はモーツァルトを歌っていたそうです。少女は父親から許可をもらい毎週水曜日にアトリエに通いました。画家は手をいため、スケッチの代えてポラロイドで撮影しました。彼女は16歳までモデルを続け、絶筆のモデルにもなりました。
豪華な衣装で寝椅子に横たわる、少女は眠るように顔を後ろに向けて、衣装をはだけるように不自然に両足をあげる、何十枚もの写真。それらは、濃密な時間の累積であり、絵に出来なかった失敗の破片でもある。膨大な中から絵になる写真を探していく、長い長い時間があったと思う。
少女の無意識下の、エロティシズムに暫し、魔道に遊び、会場を出ました。
経済の魔境で、思う。
道の向こうに、メガバンクの本店がある。上場企業で財務やっていたとき、ここの2階に通いました。銀行が、どういうところなのか知りました。ふと口から、
「こいつに、潰された会社、いっぱいあるんだろうな。」
と声を出してしまい、乳母車を押している女性に聞かれて、振り向かれました。きっと変な人だと思われたでしょう。
経済の魔境。私はここで、したたかな弱者として、絶対に生き延びる。生き延びることが、私の見つけた勝利。合言葉は「自己責任」(きついけれど)憎むべきものは「見栄」。
「バルテュス 最後の写真ー密室の対話」展 概要


2014年7月4日初出
2021年6月29日改訂