パション20 国立近代美術館工芸館 2020 東京での最後の展覧会は突然終止符が打たれました。

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黒田辰秋 ベンチ 国立近代美術館工芸館インテリア関連の展覧会と本
黒田辰秋 ベンチ 国立近代美術館工芸館
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石川県お引越し前の最後の展覧会

個人的に日本の伝統に基づいたデザインた、家具・インテリアを売りたいなと決めてから、あっ国立近代美術館工芸館があると思いついて、家具・調度の展覧会に行くようになりました。だが、石川県への移転が決まりいよいよ最後の展覧会となりました。

家具に興味があるので、黒田辰秋のベンチにもう一度座りたい、そんな思いで出かけました。

突然のさよなら、

私は2月の24日祝日に観に行きました。コロナウイルスの流行により東京の街は、人出が少ないなと感じました。この後行った新国立美術館のハンガリー展は祝日とは思えない程空いていましたが、工芸館は最後の展覧会ということで、人が出ていました。皆さんお別れにパッションを抱いているようでした。

この週末政府から、小・中・高校の休校のお願いがが出されたのと同時に、国立美術館・博物館が休館になりました。3月8日まで会期でした、パッション20展と東京での工芸館の活動は終了してしまいました。コロナウィルスで予感はありました。だから急いでいったのですが、突然の終了となってしまいました。移転のスケジューリングもあるので会期は延ばせなかったようです。

会場内は一部の作品を除いて、撮影可でしたので、行けなかった人はSNS などで探してみてください。私はデザイン参考にするために写真を撮っていたので、横から撮ったり、鑑賞者がいても撮影したので、ブログに出せるまともの写真が少なかったです。公式Twitterにも写真があります。https://twitter.com/MOMAT60th

国立近代美術館工芸館 入り口

国立近代美術館工芸館 入り口

収蔵展は好きな作品だけしか、観ません。

収蔵品展に3回行って分かりました。もう好きなものしか観ない、それに罪悪感を持たない。ゆえに好きな作品だけ紹介します。

黒田辰秋 欅拭漆彫花文長椅子

このベンチに座りたくて、この展覧会に行きました。座れたので言うことなし、未練もなし。

黒田辰秋は家具の世界では、凄い人だと思います。白洲正子が京都で見つけた漆芸家としてもその造形力は並々ならぬものがあり、朱の漆が眩しい櫛箱と中次が展示されていました。

階段を上がったホールにあるのでこれが作品だと気が付かない人もいました。一見すると彫刻が付いてごつごつしていそうで、3人掛けとしては大きく、座面も幅があり、日本人には大きなベンチに思えます。座った背もたれにもたれると、沈みこむわけでもなく、上手い具合にホールドされて、長時間座っても疲れないいすかも知れません。見た目に違う、坐り心地です。

大きな家具は商業的に作れない日本では、真逆の発想

黒田辰秋 ベンチ 国立近代美術館工芸館

黒田辰秋 ベンチ 国立近代美術館工芸館

鈴木長吉 十二の鷹

観た瞬間、「欲しい!」となってしまいました。1878年のパリ万博で金賞を受賞し96年に帝室技芸員を拝命した鈴木長吉が、監修した12匹の金工の鷹です。

室町末からの架鷹(かよう)図の様式に従っています。この台の花結びが気に入りました。絵画資料があるのかな。漆の台に渋い灰緑の布、織模様が何種か使われているのが好きです。長吉は鷹を飼っていて骨格から習性まで観察して、制作時は見えないところまで追求しました。一匹ではなく十二匹のを鋳造させたのは、日本の技術力の高さを見せるのにはいい見せ方です。圧巻。

公開時のパンフレットに「日本独自の技術」と書かれていたのですが、最近の調査によれば、電気メッキの使用の可能性もあるそうです。一流の人を見ていると、躊躇なく最良と思われる技術・方法を採用します。後に続く金工家達に、作品のためにどう技術を使うか示したと思います。後で象嵌・彫金・鍍金と云った伝統技法だけで作られたものだという研究が出る可能性もありますが、優れた職人として敬服です。

鈴木長吉監修「十二匹の鷹」

鈴木長吉監修「十二匹の鷹」

鈴木長吉監修「十二匹の鷹」

鈴木長吉監修「十二匹の鷹」

芹沢銈介 カレンダー

実は家にも何年分ものカレンダーがあるのです。民芸って今は廃れていますが、昭和四十年代はお土産物屋さんでも民芸調の物が売られていました。戦後ガラって変わった時代の日本人が、心を埋めるよう求めたのが民芸品だったと思います。最近は民芸ではなく日本の伝統的なものは正統なものが求められていて、民芸運動と周辺作家は一部の人を除き人気がない気がします。

芹沢さんはお弟子さんを何人も持っていて、東京蒲田にアトリエがありました。(子供心に何で東京?と思っていましたよ)そのお弟子さんからカレンダーや、芹沢さんの型で染めた帯を買っていました。この日着物を着ていったのですが、芹沢さんの型でお弟子さんが染めた帯を締めて行きました。ちょっとした邂逅かな。

民芸は一時の熱狂から、クールダウンしている時なのかな、ガラスとコンクリートの家に住む21世紀の日本人は、民芸をどう評価するのでしょうか。

芹沢銈介の作品

芹沢啓介の作品

富本健吉 色絵金彩羊歯文八角櫛箱

2017年の展覧会では、隣の北大路魯山人の方が良かったと書いてしまった、富本健吉ですが、今回は、都会派・繊細・派手目・綺羅綺羅が好きな私の心に来ました。制作に要した時間はどのくらいだろうか。この時間を無駄と言ってはいけない。きっと私達の日々の生活に影響している美だ。ここにある作品は日本人の美意識に影響を与えている。

隣に写る、緑色の綺羅綺羅した壺も好きだ。

富本健吉「色絵金彩羊歯文八角櫛箱」

富本健吉「色絵金彩羊歯文八角櫛箱」

山下恒雄 戦夜

長さ40cmくらい、バッタ(?)の工芸品としては大きいです。皆さん気になるようで、人だかりがする人気でした。どうやら社会的なメッセージのあるような作品ですが、「大きいけど可愛い虫」というところに、可愛いを愛でる遺伝子を持った日本人が反応していました。

山下恒雄 「戦夜」

山下恒雄「戦夜」

四谷シモンの人形や喜多川俵二の有職織物など、心惹かれる作品はまだまだありました。

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パッション20 展 概要

所蔵作品展 パッション20 今見ておきたい工芸の想い

w e b:サイト  公開終了
twitter  https://twitter.com/MOMAT60th
Facebook https://www.facebook.com/momat.pr
会  期: 2019年12月20日(金)~2020年3月8日(日)
新型コロナウイルス感染症予防対策による臨時休館により
2月29日(土)で工芸館の東京での活動は終了となります。
会  場:国立近代美術館工芸館
休 館 日 : 月曜日 1/13 2/24は開催 年末年始12/28(土)~1/1(水・祝)、
1/14(火)2/25(火)
開館時間: 10:00~17:00 (入館は閉館の30分前まで)
入 場 料  :一般1,300円(1,200円)大学・高校1,000円(800円)
中学生以下無料( )内 団体
各種障がい者手帳お持ちの方は、本人と介護者一人まで無料
詳細はサイトで
音声ガイドなし
図録なし 小冊子配布
グッズなし

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東京国立近代美術館工芸館 アクセス方法

webサイト:web http://www.momat.go.jp/cg/
twitter https://twitter.com/MOMAT60th
Facebook https://www.facebook.com/momat.pr
住   所:東京都千代田区北の丸公園1-1
電   話: 03-5777-8600(ハローダイヤル)

アクセス方法

 地下鉄東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口徒歩8分
東京メトロ半蔵門線・東西線・都営新宿線九段下駅 2番出口徒歩3分
東京都港区千代田区北の丸公園1-1
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