極楽とはこんな所かな?浄土式庭園。
数年前はじめて、横浜市金沢区の称名寺に行った時です。表通りから朱塗りの総門(惣門)をくぐり、参道へ、参道にはお店があり、「流石名刹!」と感じ入りました。周囲には塔頭が幾つもあり、「有名寺院だ!」正面大きな仁王門の横から境内にはいると、大きな池に丸い太鼓橋が掛かってその先にお堂が見えました。
「ここが極楽なのか」と思ったのが、称名寺をはじめて訪問した時の感想です。が、これ正しいです。平安~鎌倉時代に、極楽浄土を再現しようとした庭園、「浄土式庭園」として造られまた。有名なのは京都の平等院になります。近くは鎌倉の鶴岡八幡の源平池にも面影が残ります。末法思想で極楽往生を願う、鎌倉時代に人々が求めた、お庭でもありました。
鎌倉の極楽寺と共に、関東に2つしかない、真言律宗の寺です。
見どころ
称名寺は一度衰退しているので、建物は江戸時代になります。浄土式庭園よく調和しています。幻想的ですね。
赤門 総門(惣門)
真っ先に通る、赤門は、称名寺の境内と外部を仕切る、総門です。「別格本山」の札が格式の高さを感じさせます。向こうに見える参道には桜並木。飲食店も何軒かあります。
門は明和8年(1771)江戸時代の建立になります。

称名寺 赤門

称名寺 赤門
仁王門(山門)
参道の正面にある、大きな二階建ての門です。称名寺は真言律宗ですが、鎌倉でよく見られる禅宗様式の建物になります。江戸時代文政元年(1818)に建立されました。
仁王様は鎌倉時代の仏像で、県の重要文化財です。

称名寺 仁王門
庭園と反り橋(太鼓橋)

称名寺 太鼓橋から本堂を見る。

称名寺
金堂(本堂)
金堂は江戸時代の天和元年(1861年)再建されました。
本尊は木造弥勒菩薩立像(重要文化財)。

称名寺 本堂
釈迦堂
本堂右手にある、茅葺屋根の建物も、江戸時代文久2年(1862)に建立されました。仁王門と同じく禅宗様式の建物です。
本尊は、清凉寺式の釈迦如来立像、清凉寺は京都嵯峨野にあります。徳治三年(1308)に北条実時によって作られました。鎌倉の極楽寺の秘仏も清凉寺式釈迦如来立像です。

称名寺 釈迦堂
鐘楼(鐘つき堂)「称名の晩鐘」
北条実時は文永六年(1269)に鋳造させた鐘が、地震で壊れたてので、金沢顕時により正安3年(1301)により再び造られました。
金沢八景のひとつ「称名の晩鐘」として知られています。

称名寺 鐘楼
こらむ、能「六浦」の楓
橋のたもとに、木札がついた楓の木が植えられています。数年前見たときは細ッコイ若木でした。
能の演目に「六浦」という作品があります。あまりメジャーでない演目で、流派によってはほとんど演じられなっかったりします。中年女性の姿で現れた楓の妖精が出て来る、「羽衣」の渋い版と言ってよい能です。私は大学で能楽研究会に所属し「六浦」を発表会で出したので、通しで謡の練習をしました。練習のためさんざん謡った感想ですが、「六浦」は舞台が地味で難易度が低いので、興行的理由で創作されたのではと思った位です。静で渋~い能の演目、なかなか風情があります。是非機会があればご覧下さい
あらすじ
六浦の称名寺を訪れた都の僧が、あたりの木々が紅葉する中で一本の楓だけ全く紅葉していないことに気付きます。そこへ現れた里の女に僧が尋ねると、女は昔、冷泉為相卿が他の木に先駆けて紅葉する楓を歌に詠むと、その楓は名誉を得た上は身を退くのが正しい道であるとして、以降は紅葉することがなかった話を語ります。さらに自分は楓の精と明かして消え失せました。夜になると楓の精が正体を現し、四季ごとの草木の移ろいを語り、舞を舞います。

称名寺 「六浦」の楓
紅葉しない楓は、ちと無理では?熱海の「お宮の松」的な存在なのでしょう。
トンネルを抜けると、そこは神奈川県立 金沢文庫。
境内左手の山に、トンネルがあります。そこを抜けると、神奈川県立金沢文庫になります。
県立金沢文庫では、称名寺伝来資料を中心に日本中世の文化財を調査・研究しています。2017年には、所蔵の「金沢文庫古文書」約2万展が国宝に指定されました。
鎌倉時代・鎌倉地方・横浜地方の興味深い展覧来会が行われています。
金沢文庫 webサイト https://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/kanazawa.htm
2018年運慶展 話題になりました。


称名寺から金沢文庫へのトンネル
称名寺とは
宗派 真言律宗
山号寺号 金沢山称名寺(きんたくさん しょうみょうじ)
創建 13世紀中頃
開山 審海上人(しんかいしょうにん)
開基 北条実時(ほうじょうさねとき)
本尊 弥勒菩薩(みろくぼさつ) (国指定重要文化財)
金沢北条氏一門の菩提寺。
鎌倉幕府の要人・北条実時が六浦荘金沢の屋敷内に建てた持仏堂から発展が起源とされます。
実時の孫・貞顕の時代には三重の塔を含む七堂伽藍を完備した大寺院として全盛期を迎えました。朱塗りの赤門をくぐると桜並木の参道が続き、突き当りには仁王門。
鎌倉時代に造られた高さ4mの大きな仁王像が出迎えます。
仁王門横の通用門を入ると、阿字ヶ池を中心に中之島・反橋・平橋を配した「浄土庭園」が広がります。
浄土庭園の向こうには、緑豊かな金沢三山(金沢山・稲荷山・日向山)を背に金堂・釈迦堂・鐘楼(称名晩鐘)があります。横浜金沢観光協会
http://yokohama-kanazawakanko.com/spot/institution/tera/tera001/
アクセスデータ
webサイト: | サイトなし |
住 所: | 神奈川県横浜市金沢区金沢町212 |
電 話: | 045-701-9573 |
入場時間 : | 9:00~16:30 |
拝 観 料: | なし |
アクセス方法
京浜急行 金沢文庫駅
徒歩12分
東口より 京浜急行 バス13番 金沢文庫駅⇔柴町 称名寺バス停下車
シーサイドライン
海の公園南口駅 徒歩15分

シーサイドライン 金沢八景駅より 平潟湾