これは凄いことです、エルミタージュの常設展示が85点
今回の大エルミタージュ美術館展は、凄いです。これはぜひ行くべきです。ロシアのペテルブルグにある、屈指のコレクションをもつエルミタージュ美術館で、常設展示されている油絵だけ、展示された美術展です。美術愛好家もびっくりの展覧会でした。女帝エカテリーナ二世が購入した由緒ある作品も含まれています。これはエルミタージュ美術館らしい展覧会です。
美術初心者でも、中学生でも理解できる、肩ひじ張らない絵ばかりでした。超有名絵画ばかりですが、説明書を読まなくても、感じるままに絵を鑑賞してもよい美術展でした。
近頃の西洋のオールドマスターオールドマスター・18世紀までの美術展は、巨匠の有名作が数点と、後は収蔵庫中にある2軍の作品で構成された、展覧会にしばし遭遇します。美術展の出品作が名作ぞろいの、1軍である常設展作だけで構成された展覧会は、久しぶりでした。関係者のご尽力に感謝です。

大エルミタージュ美術館展ちらし
素晴らしかった作品の感想です。
ティツィアーノ「羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像」
会場の最初のエカテリーナ二世の巨大肖像画の次に、目に入るのがヴェネティア派の巨匠、ティツィアーノのこの作品です。只々美しい、この展覧会で最も美しかった作品です。きら星のごとく会場にある名作を、すべて差し置いてこの絵が、一番でした。さすがティツィアーノです。肌のピンク色が美しい。
この絵はぜひ本物を観てみてほしいです。図録を買ったのです。最近の図録は色の再現力があって本物と遜色ないのですが、図録の写真は色鮮やかな女性の肌、天鵞絨(ビロード)の質感などなど、展覧会の印刷物も含めて、ついでネットでも、再現されていませんでした。これは本物の方が何段も美しいです。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像」http://hermitage2017.jp/imgs/works/works_02_ph.jpg


ヘラルド・デル・ホフ(2世)「カトリーナ・レーニングの肖像」
黒い背景の前に立つ、女性像です。これも図録より本物が良かった!レースの襟に黒いドレスはオランダ絵画でもよく見られます。デーフェンテル市長の妻ということが、絵の裏の紋章から判明しました。夫の市長指名記念の肖像の可能性があるとのこと。
袖口の大きなリボンが気に入りました、白いレースなのかしら。
ピーテル・デ・ホーホ「女主人とバケツを持つ女中」
オランダ絵画の、日常生活を切り取った絵画が好きです。浮世絵の様なところに親近感を感じます。中庭に坐っている中年の女性に、侍女が市場で買ってきた魚をバケツに入れたものを、見せている場面です。
市松模様のテラスの前景、中庭の中景、裏木戸越しに木と遠景にオランダ独特の家が描かれています。絵の中にギュット色々なものが詰め込まれています。飾り気のない光景が中流階級です。あー何を話しているのか知りたい。

ピーテル・デ・ホーホ「女主人とバケツを持つ女中」http://hermitage2017.jp/imgs/works/works_07_ph.jpg
ヤン・ブリューゲル1世「魚の市場 (ペテロとアンデレの召命)」
ピーテル・ブリューゲル1世の次男で花の絵で名高い、ヤン・ブリューゲル1世の絵です。絵の左側の崖の上に立つ、建物が、先日見てきたばかりの、お父さんの ボイスマンス美術館の小「バベルの塔」そっくりです。
建設途中で重機が見えるのも似ています。よく見るとこの建物は4階建てバベルの塔なんかよりずーと低いのに、崖の上で近景なので建物が3段の塔のように見えて、「えっ、ここにもバベルの塔?」と錯覚しそうになりました。ウィーン美術史美術館の 大「バベルの塔」にも、手前に人が集まっている所が似ていました。魚の売り買いしている所です。
ブリューゲル一族は初代の遺産を、上手に使っています。こんなところにも「バベルの塔」。

アンソニー・ヴァンダイク「王妃ヘンリエッタ・マリアの2人侍女」
私にとっては、2度目の再会になりました。”大奥”にお勤めの貴族夫人2人の肖像画といった絵です。若くはない二人が、気品と輝いている肖像画です。憧れる熟年女性!宝石も豪華な衣装も素敵だけれど。金の巻き毛がとって繊細な筆使いでいいな。
フランシスコ・デ・スルバラン「聖母マリアの少女時代」
見れば見るほど少女の真直ぐなまなざしです。

フランシスコ・デ・スルバラン「聖母マリアの少女時代」http://hermitage2017.jp/works
ジャン=オノレ・フラゴナールとマルグリット・ジェラール「盗まれた接吻」
少女腕とストライプのスカーフが対角線にくる構図、衣服の質感、スカーフのストライプの織地の透明感がリアルで見ってしまいました。突然のキスで動揺しながらも、右手のドアの向こう位視線を向ける少女にドラマ性を感じました。この絵はズルい!
ロココの画家フラゴナールと弟子であり、妻の妹の女流画家ジェラールとの共作です。絵の構成はフラゴナールで、絵のほとんどをジュラールが描いた模様です。当時流行したオランダ風で描かれました。ジュラーエールはあらゆる布地の質感を描くことで名声を得たそうです。
3流映画的な、わざとらしい構図なのですが、暗闇から浮き上がるドレスの白いサテンが絵を引き締めています。テキスタイルのリアルが絵を救っている。
ルカス・クラーナハ《林檎の木の下の聖母子》
今回画家の出身別にコーナーが分れていました。最後のコーナーは「ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で」という失礼な名称でした。確かに出品数は少なかったです。クラーナハのこの一枚は、巨匠の格調の高さで、コーナーをしめました。
たわわに実る林檎に目が向きます。マリアの金髪の巻き毛や首回りノベールを、細かい線で描き入れています。会場でよくこんな細い線を描き入れるなと思いました。マリアの顔はクラーナハの得意としている美人、一枚一枚の作品で存在感見せてくる、巨匠の画力の高さを感じました。
ティツィアーノ然り、クラーナハ然り、何を描いても画力があり、外れがない巨匠の絵が私は好きです。

ルカス・クラーナハ「林檎の木の下の聖母子」http://hermitage2017.jp/works

大エルミタージュ美術館展 概要
大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち
w e b: | 特別サイト http://hermitage2017.jp/special.html(公開終了) twitter エカ様 https://twitter.com/Dai_hermitage |
会 期: | 2017年3月18日(土)~6月18日(日) |
会 場: | 森アーツセンターギャラリー |
休 館 日 : | 5月15日(月) |
開館時間: | 10:00~20:00 火曜日は17:00まで(入館は閉館の30分前まで) |
入 場 料 : | 一般1,600円(1,400円)大学1,300円(1,100円) 高校・中学・小学800円(600円)( )内、前売り・15名以上の団体、 各種障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名まで、当日料金お半額 詳細はサイトで、http://hermitage2017.jp/ticket.html(公開終了) |
巡回展
愛知県立美術館 2017年7月1日(土)~9月18日(月・祝)
兵庫県立美術館 2017年10月3日(火)~2018年1月14日(日)
六本木ヒルズ 森アーツセンターギャラリー
webサイト: | web http://www.roppongihills.com/museum/ 六本木ヒルズ twitter https://twitter.com/roppongihills 六本木ヒルズ facebook www.facebook.com/RoppongiHills.official |
住 所: | 東京都港区六本木6-10-1 |
電 話: | インフォメーションセンター 03-6406-6000 10:00~21:00 |
アクセス方法 webページ
六本木ヒルズ入り口まで。
東京メトロ 日比谷線 | 六本木駅 | 1C出口 徒歩0分 コンコースにて直結 |
都営地下鉄 大江戸線 | 六本木駅 | 3出口 徒歩4分 |
都営地下鉄 大江戸線 | 麻布十番駅 | 7出口 徒歩5分 |
東京メトロ 南北線 | 麻布十番駅 | 4出口 徒歩8分 |