衣冠束帯も、十二重も、進化し続けているそうな。
国文科で平安文学を学んだものとして、俗に十二重と呼ばれる女房装束も、衣冠束帯も平安時代ないしは院政期の、強(こわ)装束を形を変えないで、現在に伝えてもらいたかったです。学習院大学史料館の宮廷装束の世界展を見て思ったことは、時代時代に合わせて変化していくのも、良いことかな。
今の宮廷装束は美智子皇后ご成婚の時に、定められたそうです。皇室も世代が変わると装束の柄のデザインもまた、時代に合わせ変わるのでしょう。
今回感じたことは、皇室をはじめとする公家の美意識は、日本の美の純粋な形で、核心であり素直です。会場の袍・小袿は鮮やかな色彩で、手のかかった工芸品で、美しくてため息物でした。
それに比べると、私の先祖の江戸っ子の粋の美意識も、千利休の侘びさびも、何処かひねくれてますな。
山階寿賀子所用の袿の文様は、牡丹の折枝と剣片喰揚羽蝶(けんかたばみあげはちょう)。寿賀子夫人の生家小浜酒井家の定紋が丸に剣片喰であることを踏まえたもの。
見事な擬態です。 pic.twitter.com/kq9JCRbJrP
— 宮廷装束の世界 (@kyoutogakushuin) 2017年2月13日
学芸員課程の講義に遭遇
さして大きくない会場て、展示品も多くはなかったのですが、王朝文化に浸りたくてのんびり鑑賞していたら、人がどやどやと来てギャラリートークがはじまりました。この日はギャラリートークの開催日でないのになぜ?、大学の学芸員課程の講義でした。遠めに先生の話を拝聴。最後に装束を実際に身に着け、石帯(せきたい)を締めるところを見せて頂きました。装束はフリーサイズだそうです。石帯のカッコよさにはじめて萌えた!
先生の話で面白かったのは、昭和大礼に使われた袍はその後の物資不足で、みな座布団などに作り変えられてしまったそう。石帯の説明のとき、石飾りが付く前は長いベルトだったのです、先生はこれの見本はアメリカでないと売ってないかと思っていたそう、でも両国で買って来ましたと話してました。学芸員はこんなこともするのかと、面白かったです。
昭和大礼に使われた縹袍(はなだほう)で、教材として宮内省から学習院に寄贈されたものです。所々に汚損が見られますが、どこを重ねて縫いとめたのか等が分かり、着装の方法が復元されました。また、大嘗祭の終了間近には小雨が降ったそうですが、ひょっとするとその時の雨で塗れたのかもしれません。 pic.twitter.com/wZWAoVReBC
— 宮廷装束の世界 (@kyoutogakushuin) 2017年2月25日
無料なのに、ポストカードに解説小冊子までもらえて。
大学の展示施設なので、入場料は少額でもかかるのかなと思い行きましたら。無料でした。私立大学だし、束帯の本物が見られるので、無理しないで有料でも良かったのですけれど。「ミュジアムレター」もいただきました。宮廷装束の歴史と主な展示品の解説が出ている、カラー写真付きの小冊子です。アンケートに答えると、ポストカードが一枚もらえました。こんなにしていただいて、よろしいのでしょうか。
アンケートにご協力くださった方に差し上げている絵葉書の一つ、「山階芳麿侯爵夫人寿賀子所用袿」の在庫が本日復活いたしました。現在は三種類とも在庫がございますので、皆様ぜひぜひアンケートにご協力ください。 pic.twitter.com/0Ky4RPVGNU
— 宮廷装束の世界 (@kyoutogakushuin) 2017年4月19日

学習院大学史料館 会場は隣の建物の一階です。
こちらは東大!
http://koten-kagu.jp/2016/07/19/syumi-8/
宮廷の世界展 概要
w e b: | http://www.gakushuin.ac.jp/univ/ua/exhibition/ twitter https://twitter.com/kyoutogakushuin |
会 期: | 2017年4月1日(土)~5月27日(土) |
会 場: | 学習院大学 史料館展示室 |
休 館 日 : | 日曜日 祝日 |
開館時間: | 10:00~17:00 |
入 場 料 : | 無料 |
twitterは必見!会場の様子や、展示品の説明が書かれています。
学習院大学史料館展示室 アクセス方法
webサイト: | web http://www.gakushuin.ac.jp/univ/ua/ |
住 所: | 東京都豊島区目白1-5-1 |
電 話: | 03-5992-1173 |
アクセス方法 webページ
JR山手線 目白駅下車 徒歩1分 学習院大学西門より徒歩4分
東京メトロ副都心線 雑司が谷駅下車 徒歩7分 学習院大学正門より徒歩1分