ティツィアーノの美しさを感じる展覧会
「画家の王」と呼ばれるティツィアーノは、展覧会場でそこだけ、輝いている絵画でした。この展覧会場では、他の画家の絵はティツィアーノの引き立て役にしかなっていませんでした。繊細で、ナチュラルで、大胆です。美しい「フローラ」金の雨が茫洋とした筆致の「ダナエ」。凡庸な表現だけれどティツィアーノは本当に美しいし、天才と思いました。
こんな展覧会でした。
全5点と回顧展というには足りない枚数ですが、ティツィアーノの代表作中の代表作、「フローラ」「ダナエ」「マグダラのマリア」「教皇パウルス3世」と若かりし日の作「復活のキリスト」が展示されていました。さすがこれは素晴らしい。

ティツィアーノ 「復活のキリスト」Facabookより
展覧会の構成は、第一章がベッリニーなど、ティツィアーノの先輩格の作品、
第二章はティツィアーノ盛期、来日はありませんでしたが、若くして亡くなった、ヴェネツィア派の本に出ている、先輩ジョルジョーネの「眠れるヴィーナス」に近い別の画家の作品とティツィアーノなどヌード画を並べたコーナーもありました。先輩が波風立たないように清潔なヌード画を描いたのに、商売上手なティツィアーノはあっという間にエロ絵にした手練を見れるコーナーでした。(ティツィアーノ以外、ちょっと落ちる画家の作だったのは残念!)
ティツィアーノ先生の≪ダナエ≫はいくつも種類があるのはご存知?あまりの素晴らしさに各所の有力者がこぞって注文、ティツィアーノ先生は何枚か制作したの。その様々なバージョンはロシアやスペインなどの美術館で見られるわ。本展の≪ダナエ≫は1番最初に描かれたもの! #ティツィアーノ pic.twitter.com/zvNohonQ4a
— ティツィアーノとヴェネツィア派展 (@titian2017) 2017年2月21日
第三章はライバルのティントレット、ヴェロネーゼの作品のコーナーでした。両人の作は一枚づつしかなく、工房作や模写でした。本人作のヤコボ・テントレット 「ディアナとエンディミオン(もしくはヴェヌスとアドニス)」とヴェロネーゼの「聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者ヨハネ」は良い作品で見ごたえがありました。
この聖女の見事な金髪を見て!光り輝く髪や衣装の光沢感、肌の透明感を黄色の微妙な色彩で描き分けた傑作ね。これを描き出したのはパオロ・ヴェロネーゼ、ティツィアーノ先生より40年ほど後に生まれた画家よ。 #ティツィアーノ #ヴェロネーゼ pic.twitter.com/fAHn8NsJWr
— ティツィアーノとヴェネツィア派展 (@titian2017) 2017年3月1日
展覧会の内容が分る動画を貼っておきます。
感想
会期も迫りました3月31日に、行きました。この後渋谷のBunkamuraミュジアムの河鍋暁斎展に行きました。天才・多作・長生きの巨匠ふたりの展覧会でした。膨大な作品の中から何を選び見せるか、運営者側の意図も見えた展覧会でした。
河鍋暁斎展はイスラエル人のゴールドマンさんのコレクションの紹介で、会場すべて暁斎の絵画!日本画の特筆で会場ビッシリでした。同じ題材の作品をまとめていて。「鴉」の絵が並べられていたりします。精巧な鴉、手抜きなやつ、少ない筆致で情緒のある鴉と、暁斎も天才だけど人間だよなーと、思えた展覧会でした。
それに対して、ティツィアーノ展は、画集に載っていたり、本で紹介される代表作が来日。「フローラ」「ダナエ」カポディモンティ所蔵「教皇パウルス3世の肖像」はじめとする5点を展示。選りすぐり中の選りすぐりで、これは逃してはいけないと思い駆けつけました。他の画家の作品は引き立て役なのか、無名作家の意欲作が少なかったです。残念!
ヴェネツィア派の展覧会が昨年の秋にあったばかりで、こちらと比べてしまいました。
ヴェネツィア・ルネッサンスの巨匠展

新国立美術館であったこちらの展覧会は、カルパッチョ、グルヴェッリ、ティツィアーノの師匠のベルニーニの中世から初期ルネサンスのコーナーが充実していました。ライバルのテントレット、ヴェロネーゼ、テントレットも見ごたえがありました。ヴェネツィア派全体に流れがつかめる展覧会でした。そこまで有名でない画家でも粒ぞろいの作品多くて。一流派を基いたのは、ヴェネツィアの画家全体のレベルの高さなんだよ。
ティツィアーノ以外の気になった絵画
ジョバンニ・マンスエーティ「博士たちとの議論」
第一章でこの絵の前に、白人さんが数人たかっていました。ジョバンニ・マンスエーティの建物に学者さんたちが沢山議論している絵です。建築好きを唸らせる絵です。ウフィツィ美術館の所蔵です。「こういう絵は面白いから好きなんだよね」と見ていたら会場の他のお客さんも溜まってきて、人だかりしました。これはもっとメジャーになってよい絵かな。リンク先のWikiから見れます。ウフィツィ美術館で有名画家と同室のようです。
ヤコボ・テントレット 「ディアナとエンディミオン(もしくはヴェヌスとアドニス)」
飛びます飛びます!で私の大好きな画家のテントレットです。暗い宗教画をよく描いていますが、これは明るい神話の絵です。ヴィーナス親子と天使が上から降りてきて、空中でくるくる回っています。
東京都美術館ティツィアーノとヴェネツィア派展 内覧会レポート
ティツィアーノとヴェネツィア派展 概要
w e b: | 特別サイト http://titian2017.jp/ 都美術サイト内ージ http://www.tobikan.jp/exhibition/h28_titian.html twitter https://twitter.com/titian2017 facebook ティツィアーノとヴェネツィア派展 |
会 期: | 2017年1月21日(土)~4月2日(日) |
会 場: | 東京都美術館 |
休 館 日 : | 月曜日 3/20・27は開室 3/21は閉室 |
開館時間: | 9:30~17:30 毎週金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで) |
入 場 料 : | 一般1,600円(1,300円)大学・専門学校1,300円(1,100円) 高校生800円(600円)65歳以上1,000円(800円)内、前売り・団体20名以上、中学生以下無料、各種障がい者手帳での割引 詳細はサイトで、http://www.tobikan.jp/exhibition/h28_titian.html |
東京都美術館アクセス方法
webサイト: | web http://www.tobikan.jp/index.html twitter https://twitter.com/tobikan_jp facebook https://www.facebook.com/TokyoMetropolitanArtMuseum |
住 所: | 東京都台東区上野公園8-36 |
電 話: | 03-3823-6921(代表) |
入 館 料: | 無料 各展覧会に入場料がかかります。 |
アクセス方法 webページ
JR上野駅 | 公園口 | 徒歩7分 |
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅 | 7番出口 | 徒歩10分 |
京成線京成上野駅 | 徒歩10分 |
東京都美術館には駐車場はありません。




