古墳時代の遺跡から、スツールが出土
2015年2月15日のニュースで、奈良県橿原の新堂遺跡から腰掛が出土しました。高野槙で高さ12cm幅35cm奥行16cmで、一本づくりなので、彫り出しで作ったものです。考古学のことは詳しくないのですが、滅多にないことです。
朝日新聞のネット記事の写真から、絵を描きました。

奈良・橿原の新堂遺跡で最古級の須恵器70点超出土…当時の生産体制を考える第1級資料http://www.sankei.com/west/news/170215/wst1702150096-n1.html
朝日新聞 古墳時代の腰掛け?ほぼ完全な形で出土 奈良・新堂遺跡
奈良新聞 コウヤマキで優美一刀造りー儀礼用?木製椅子/橿原・新堂遺跡 5世紀前半 リンク切れ
これから読み取れること
私の少ない知識でいうと、高野槙は舟や風呂桶に使われる、耐水性のある木材です。しかし高野槙を選んで作ったのではなく、そこにあった木を彫ったと思います。(考古学知らないのですが。)
サイズ高さ12cm幅35cm奥行16cmは、現代日本人からすれば小さいです。
右側が破損しています。足の形が曲線になっていて、日本人が好きそうなデザインとなっています。全体に大陸の匂いのしないスツールです。(こんなもの国産でしょうに。)
木工品が後世に残るのは難しいのです。故人の遺品として使命を持って、保存しない限り残りません。たいがいの家具・調度・木工品は、要らなくなると竈や囲炉裏の焚き付けとして燃やされてしまいます。
新聞記事は、新堂遺跡は須恵器の工房のそばという以外、詳細はわかりません。もしかしたら土砂崩れで埋もれていた?何らかの理由でうち捨てられてしまったとか?古墳時代でなくても昔の家具が残るのは、珍しいことです。
インスパイアされて、デザインしてみました。

デザイン 日本古典家具山本
出土品の右側の欠損に、アンシリメントリーの面白さを感じました。日本人はアンシリメントリー好き民族なんで。座面を波打つようにして左右の端を上下させました。(もうすでに実用品ではない。)
問題は高さで、背もたれなしのイス、スツールにすると高さが、30cm~50cmになること。座り心地を加味すると、50cmくらい欲しいかな。ちょっと低めで高さ40cmぐらいでデザインしてみました。そうしたら足の曲線が違ってしまった。ボリューム感が出すぎた。木で作ると重いかも
あの足の形は面白いデザインなので、何かに使いたいものです。制作すると座面部分は彫刻の彫り出しで、足は3cm厚くらいの板をカットしたものを取り付けるのが、妥当かな。量産することは一切考えていませんでしたので、コストが高くなりそう。座面を中央を彫込まないことにして成形合板でもと考えてみた、これで面白いスツールになるか?
まさかパクる人はいないと思いますが念のため、このデザインの著作権は、日本古典家具に帰属します。製品化する場合、デザイン料が発生いたします。
2017年2月19日初出
2018年5月6日リンク切れ