三渓園 鶴翔閣(かくしゃうかく)の公開に行きました。
横浜の、三渓園の「三渓園で楽しむ夏休み~横浜市指定有形文化財」 2015年8月11日(木・祝)~8月16日(火)の公開に行ってきました。
鶴翔閣は明治から昭和の、茶人であり、実業家であった、原三渓が、家族と住むために、建てられた、個人住宅です。
鶴翔閣は毎年8月に、内部の公開をしています。

三渓園 蓮池越しに見る、三重の塔
三渓園といえば、この風景。ベタだな、絵葉書みたいと、言われそうです。でも記念に貼っておきます。
鶴翔閣(かくしゃうかく)について
住居として建てられました。
原三渓が、明治35年に家族と住むために建てた、自宅です。茅葺屋根の平屋。七棟からなります。
かつては、原三渓の家族ばかりでなく。三渓が後援していた。日本美術院の画家、横山大観、下村観山、前田青邨が、泊まり込んで、絵画の制作をしていました。
大正時代・昭和の戦前では、最先端で、ボイラー室や変電所があり、水洗トイレが使われていました。
平成11年より、復元修復工事
昭和28年、原家は三渓園の大部分を、横浜市に寄贈しました。横浜市は財団法人三渓園保勝会を設立し、庭園と建物の整備を行っています。
鶴翔閣は、大平洋戦争中、大きな茅葺屋根が、空襲の目標になると、瓦葺に変え、規模も半分に縮小されました。
三渓園が横浜市に寄贈した頃は、長い間、住居として使われてなかったので、建物の傷みが激しかったそうです。
平成10年より調査、11年より工事がはじまり、12年10月に完成しました。

三渓園 鶴翔閣

三渓園 鶴翔閣 楽室棟
見どころ
鶴翔閣は、大きな茅葺屋根をもち、外から見ると三渓園の、景観の重要ポイントとなっています。多くの建物が連なり、その間を廊下がつないでいます。各部屋から大池が見れるようになっているそうです。
楽室など、いす式の生活が出来るよう天井が高くなっています。和・洋両方の生活が出来ました。
室内は簡素で、安い材料が使われています。そのかわり、広間・楽室・仏間・茶の間・客間などに、多くの掛け軸をかける、金具を取り付けていました。鶴翔閣は多くの絵画・彫刻が飾られて華やかだったでしょう。
玄関
存在感のある、茅葺屋根の車寄せです。実際に見ると大きいです。家から屋根が突出し、それを、意外にも細い柱で支えています。
原三渓の岐阜県岐阜市にある、実家(婿養子なので、)の玄関に、デザインが似ているそうです。

三渓園 鶴翔閣の玄関
広間 楽室棟
玄関を入ってすぐの場所に、広い部屋が2つあります。いす席に対応できるよう、天井が高くなっています。
広間は接客の部屋、楽室棟は家族みんなが集まって、談笑や食事、音楽鑑賞をした部屋でした。

三渓園 鶴翔閣 楽室堂

三渓園 鶴翔閣 楽室堂
茶の間棟・仏間棟
原家の人々が、寝室や普段の生活に使用しました。近くに洗面所・藏があり、普段の生活空間でした。

三渓園 鶴翔閣 茶の間棟
書斎棟
原三渓の寝室および書斎。茶の間棟の一番奥で、一段高くなったところにあります。和室を飾りの暖炉と板敷にして洋室にしました。

三渓園 鶴翔閣 書斎棟

三渓園 鶴翔閣 書斎棟 マントルピース(飾り暖炉)と本棚
客間棟
来客の居間であったり、横山大観、下村観山、前田青邨ら「三渓園グループ」が制作の場所に使っていました。前田青邨「神輿振り」(大正元年制作 東京国立博物館所蔵)はこちらで制作されました。

三渓園 鶴翔閣 客室棟

三渓園 鶴翔閣 客室棟
藏・廊下・浴室
藏は、大正10年に原三渓が、隠居所、白雲閣の藏が出来るまで、美術品を保管していました。その後は衣類などが、保管されました
廊下の写真を見てください、全部畳が敷いています。やはり、板敷より畳の方が、足に心地よいです。
浴室には、五右衛門風呂がありました。

三渓園 鶴翔閣 藏

三渓園 鶴翔閣 廊下

三渓園 鶴翔閣 浴室の五右衛門風呂
鶴翔閣のパンフレット、「三渓園の建築と原三渓」西 和夫 を参考にしました。
こらむ 鶴翔閣の感想
全館、冷房付きでした、今を生きる鶴翔閣。
8月16日公開日の最後に、行きました。暑い日がつづき、週間天気予報で少しでも気温が低い日を選らんだのですが、夕方から台風の強風が来る日になってしまいました。
炎天下のなか、三渓園の正門から歩いて、鶴翔閣の玄関にたどり着いたら、中は冷房がきいていました。古民家と聞いていたので、冷房があると思わず。助かりました。
鶴翔閣は、木の香りがしていました。平成12年に修理が完了していたので、意外でした。最近も整備が続いているからでしょうか。
「三渓園で楽しむ夏休み~横浜市指定有形文化財」 で室内には多くの子供たちがいました。資料用に沢山写真をとりました。人が写り込んでいる写真が多く、ブログへの掲載をあきらめました。
子供たちに、伝統家屋の座敷を体験させることは、良いことだと思います。
審美眼と贅沢を知っている男が、自宅に求めたのは、空間。
鶴翔閣に行ってみて、原三渓は必要な空間を作ったな、と思いました。存在感のある外観と比べて、室内はいたってシンプル。材料が安そうな感じがしました。
比較的安価な材を使うが、要所に良材を使い、メリハリのある銘木を使用となっている。
「三渓園の建築と原三渓」西 和夫 187ページ
本にも出ていました、我ながらカンが鋭い!
豪華な造りの建物は、三渓園内に幾つでもあるので、自宅には求めなかったのでしょう。家族の暮らしと、若い画家への後援に必要な部屋を、考えて作られた家だと感じました。この家は、時には増築・減築もされていました。
三渓園内に、数々の、名建築を移築し、茶人として名高い、原三渓の作った自宅です。その美しさ、鑑賞させて頂きました。

三渓園 鶴翔閣
鶴翔閣は借りれます。
鶴翔閣だけでなく、茶室と白雲閣が借りれます。サイトページ
参考として、楽室棟が、1コマ、50,000円になります。 料金表
三渓園の各建物の、紹介とリンク
内苑
御門(ごもん) 横浜市指定有形文化財
京都東山の西方寺より、海岸門ともに移築されました。薬王門です。

三渓園 内苑の御門
白雲邸(はくうんてい) 横浜市指定有形文化財
臨春閣(りんしゅんかく) 重要文化財
旧天瑞寺寿塔覆堂・月華殿・亭榭 豊臣秀吉・徳川家康ゆかりの建物
http://koten-kagu.jp/2016/09/15/kamakura-70/
旧天瑞寺寿塔覆堂(きゅうてんずいじじゅとうおおいどう)
豊臣秀吉が母大政所の病気回復を祈り、建てさせた寿塔を保護するお堂。豪華な彫刻が彫られています。

三渓園 旧天瑞寺寿塔覆堂
月華殿(げっかでん)
徳川家康が将軍宣下のとき、伏見城中に大名の控え室として建てさせました。安土桃山時代の書院造り。

三渓園 月華殿
亭榭(ていしゃ)
庭園内の屋根付きの橋です。こちらは原三渓が建てたものです。
豊臣秀吉の正室根寧が出家して、余生を過ごした京都高台寺の観月台を模しています。

三渓園 亭榭
金毛窟(きんもうくつ)茶室 重要文化財
天授院(てんじゅいん) 重要文化財
鎌倉の建長寺の塔頭より移築された、禅宗様式の仏堂です。原家の持仏堂になります。

三渓園 天授院
聴秋閣(ちょうしゅうかく) 重要文化財
春草廬(しゅんそうろ)茶室 重要文化財
蓮華院(れんげいん)茶室
海岸門(かいがんもん)
京都の東山西方寺より、御門とともに移築されました。
http://koten-kagu.jp/2016/09/24/kamakura-71/
三渓記念館
三渓記念館は、内苑の入り口にあります。ミニ美術館とミュジアムショップと、抹茶処があります。立ち寄ることを、おススメします。

三渓園 三渓記念館 望塔亭の抹茶
鶴翔閣(かくしゃうかく)
原三渓の自宅、明治35年(1902)建設。平成12年修復工事。
毎年8月に公開されます。
2016年8月の公開の様子。室内の写真が見れます。
http://koten-kagu.jp/2016/08/30/kamakura-67/
外苑
旧燈明寺三重塔(きゅうとうだいじさんじゅうのとう)重要文化財
松風閣 展望台
林洞庵(りんどうあん)茶室
初音茶屋(はつねじゃや)休憩所
梅林 臥龍梅
寒霞橋
横笛庵(よこぶえあん)茶室
旧東慶寺仏殿(きゅうとうけいじぶつでん)重要文化財
鎌倉の駆け込み寺で有名な東慶寺よりの、移築。江戸初期の禅宗様式。
http://koten-kagu.jp/2016/09/24/kamakura-71/
旧矢箙原家住宅(きゅうやのはらけじゅうたく)合掌造り 重要文化財 いつでも見学できます。
http://koten-kagu.jp/2016/09/08/kamakura-69/
旧矢箆原家住宅は、岐阜県大野郡荘川村にありました。昭和32年、ダム工事にともない水没することになり、三渓園に移築されました。
江戸末期に建てられ、一階は飛騨の大工の作った、書院と農家。屋根裏部屋は村人が共同で作った合掌造りです。内部の見学ができます。

三渓園 旧矢箆原家住宅
旧燈台寺本堂(きゅうとうだいじほんどう) 重要文化財
三渓園 アクセスデータ
w e b: | http://www.sankeien.or.jp/index.html |
住 所: | 神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1 |
電 話: | 045-957-0634 045-957-0635 |
休 園 日: | 12月29日・30日・31日 |
開館 時間: | 9:00~17:00(入園は閉園の30分前まで) |
駐 車 場: | 乗用車 最初の2時間500円、以降30分毎100円当日最大1,000円 バス 駐車時間に制限なく、1利用につき1,000円 |
入 場 料 : | 大人(中学生以上)500円(400円)小人(小学生)200円(100円) ( )内、20名以上の団体、大人・小人の区別はありません。 学生だけで構成された団体は、学生団体入園料金250円 回数券、年間パスポート、前売券 入園料免除(無料)の規定もあります。詳しくはこちらに。 |
アクセス方法
web交通ページ http://www.sankeien.or.jp/access/index.html
電車・バス
駅名 | バス乗り場 | バスの系統 | 降りるバス停 |
JR京浜東北線 根岸駅 | バス1番乗り場 | 横浜市営58・99・101系統 | 本牧 下車徒歩10分 |
JR 東急 京急 相鉄 市営地下鉄 横浜駅東口 | バス2番乗り場 | 横浜市営8・148系統 | 本牧三渓園前 下車 徒歩5分 |
JR京浜東北線 桜木町駅 | バス2番乗り場 | 横浜市営8・148系統 | 本牧三渓園前 下車 徒歩5分 |
市営地下鉄元町・中華街駅 4番出口 | 山下町バス停 | 横浜市営8・148系統 | 本牧三渓園前 下車 徒歩5分 |
2016年8月30日初出
202年2月13日改訂