江戸東京博物館の大河ドラマ特別展真田丸のイベントに参加する前に、上野の東京都美術館の若冲展に行こうと計画していました。平日朝で290分待ちというクレージーな状況なのでやめました。後60年生きるので、5~6回若冲を見れるので次の機会をにしましょう。それにしても国立博物館の平成館にすればいいのに、都美術は経路が複雑で大量観客動員には向かないって。
で、行きたい展覧会から、両国と同じ城東エリア、東京大学そばの弥生美術館・竹久夢二美術館の
耽美・華麗・悪魔主義 谷崎潤一郎文学の着物を見る ~アンティーク着物と挿絵の饗宴~
に行きました。長い名前の展覧会名です。何処を略せばいいのか分かりません。「谷崎潤一郎のアンティーク着物展」あたりがヨサソウ?
谷崎潤一郎も、アンティーク着物も大好きなので行ってきました。
作品が書かれた時代の着物
当時の着物で、当時のコーディネート
谷崎の小説の挿絵、モデルになった谷崎周辺の女性たちの写真から、再現コディネートされていました。「細雪」「痴人の愛」「卍」「蓼食う虫」「春琴抄」「鍵」「台所太平記」……二十数作品で、谷崎がどのような着物を想定したのか、当時の着物・帯・小物も含めて再現していました。マネキンに着付けされて展示されています。
色あせた、アンティーした着物が多かったです。そこは新品だったときのことを想像して。
映画・芝居の着物は嘘だった。
谷崎作品の映画化・芝居は、その豪華な衣装が話題になります。その着物が制作時の時代の好みを反映されていたとは、意外でした。
1983年名匠、市川崑監督、主演佐久間良子、ヒロイン雪子、吉永小百合の「細雪」、私は封切りで見ました。着物が観たくて行った映画で熱心に観たのですが、言われてみれば封切り時の呉服の流行に乗っている着物ですね。(ショッピングセンターによく出店している、大手呉服店がスポンサーだった気がします。)有名なシーンを都合よくつなげた映画なので、綺麗な場面が多数です。
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映画自体は、同監督の「犬神家の一族」のほうが良いです。
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最近着物のトレンドが礼装用の高級着物から、普段着・着物になり、着物をはじめるハードルが低くなりました。楽な着付けも容認されるようなりました。(まだ保守派=着物警察とのバトルは続いているが。)着物を普段に着ていた時代は、みなさん楽な着付けをしていたわけですから。
有名なアンティーク着物店が協力
展覧会に来る前は、アンティークでは再現出来きれなくて、一部新しい着物もあるのではと勘ぐっていました。全部当時の物でコディネートしていました。驚き。銘仙などを除き着物は1枚だけのオリジナルが尊ばれる中、よくぞ見つけました。
協力したアンティーク着物店は、東西の有名店ばかりでした。オンラインショップやら、京都の老舗やら、十年前に私が買いあさっていた銀座のお店もあります。
本当にあの挿絵の通り、探してきてました。プロの眼力の高さにびっくり。
展覧会の本が出版されています。
展覧会の図録が欲しくて買ったのです。単行本で一般の書店でも買えるようです。谷崎潤一郎文学の着物を見る: 耽美・華麗・悪魔主義 (らんぷの本)は、今回、展示された着物がマネキンに着付けされたままの写真が掲載されていました。
内容は展覧会と説明文・挿絵など展示物、ほぼ同じです、展覧会の再現率が、ここ最近の図録のなかで、最高かも知れません。
こらむ 中央公論社は、谷崎潤一郎が指名した出版社。
谷崎潤一郎のおかげで、大きくなりました。
谷崎の小説・随筆は全集を手元に置いて、高校生時代むさぼるように読みました。父が中央公論社(現 中央公論新社)の総務部の社員でした。親に「谷崎さんのおかげで、大きくなれたのよ。」言われながら育ちました。当時、有名作家の葬儀は、出版社の総務部の仕切りでした。谷崎潤一郎の葬儀を中央公論の総務が仕切りました。松子夫人から礼状を頂いております。家宝。
谷崎潤一郎の新しい全集
2015年は、谷崎潤一郎、没後50年、
2016年は、生誕130年
だそうです。中央公論新社特設サイト 生前谷崎は中央公論社しか、自分の本を出版させませんでした。硬めの本を出す出版社として、定評があったことも理由でしょう。あと家一軒分の前借をポンと出したから?それとお洒落だったからでしょう。マリクレール!
没後50年で著作権が切れたことで、青空文庫の無料電子書籍はじめとして、他の出版社での文庫化もありますが、そこは中央公論新社でよろしくおねがいします。
昨年から、新しい谷崎潤一郎全集が刊行されました。すでに重版になっております。
谷崎潤一郎全集のページ 谷崎潤一郎関連書籍検索結果ページ ここから各書店の販売サイトに飛べます。amazonも貼っときます。
谷崎潤一郎全集 – 第一巻 「刺青」「羹」
谷崎潤一郎全集 第二巻 「恋を知る頃」「熱風に吹かれて」「捨てられる迄」「饒太郎」
谷崎潤一郎全集 第三巻 「お艶殺し」「お才と巳之介」「金色の死」「神童」
谷崎潤一郎全集 第四巻 「人魚の嘆き」「魔術師」「鴬姫」「異端者の悲しみ」
谷崎潤一郎全集 第五巻 「二人の稚児」「人面疽」「白昼鬼語」
谷崎潤一郎全集 第六巻 「小さな王国」「呪はれた戯曲」「富美子の足」
谷崎潤一郎全集 第七巻 「女人神聖」「美食倶楽部」「恐怖時代」「天鵞絨の夢」
谷崎潤一郎全集 第八巻 「鮫人」「AとBの話」「アマチユア倶楽部」
谷崎潤一郎全集 第九巻 「愛すればこそ」「お国と五平」「永遠の偶像」「本牧夜話」「白狐の湯」
谷崎潤一郎全集 第十巻 「アベ・マリア」「痴人の愛」「肉塊」「無明と愛染」「蛇性の婬」「雛祭の夜」
谷崎潤一郎全集 – 第十一巻 「痴人の愛」「神と人との間」
谷崎潤一郎全集 第十二巻 「蘿洞先生」「友田と松永の話」「マンドリンを弾く男」「青い花」「グリーブ家のバアバラの話」
谷崎潤一郎全集 – 第十三巻 「卍」
谷崎潤一郎全集 – 第十四巻 「青塚氏の話」「蓼喰ふ虫」
谷崎潤一郎全集 – 第十五巻 「乱菊物語」「盲目物語」「吉野葛」
谷崎潤一郎全集 第十六巻 「武州公秘話」「恋愛及び色情」「青春物語」
谷崎潤一郎全集 第十七巻 「春琴抄」「蘆刈」「陰翳礼讃」「春琴抄」「蘆刈」
谷崎潤一郎全集 – 第十八巻 「文章読本」「聞書抄」「猫と庄造と二人のをんな」
谷崎潤一郎全集 – 第十九巻 「細雪」上巻・中巻
谷崎潤一郎全集 第二十巻 「細雪」下巻「月と狂言師」「疎開日記」
谷崎潤一郎全集 第二十一巻 「少将滋幹の母」「幼少時代」
谷崎潤一郎全集 第二十二巻 「過酸化マンガン水の夢」「鍵」「夢の浮橋」
谷崎潤一郎全集 第二十三巻 「三つの場合」「当世鹿もどき」
谷崎潤一郎全集 第二十四巻 「瘋癲老人日記」「雪後庵夜話」
谷崎潤一郎全集 第二十五巻 「初期文章」「談話筆記」「松の木影」「続松の木影」「子」「丑」「武州公秘話ノート」未発表資料「創作ノート」
谷崎潤一郎全集 第二十六巻 「日記」「記事」「主おもむろに語るの記」「十八公日記」「年譜」「書誌」「著作年表」「著作索引」最終巻。

弥生美術館 東大の弥生門の前にあります。
高畠華宵の展示と竹久夢二美術館
3階の高畠華宵の展示
規模は大きくないのですが、戦前の「萌絵」で大人気の画家、高畠華宵の作品が弥生美術館の3階に展示。竹久夢二より後の世代です。谷崎が旺盛な執筆活動していた、大正・昭和に、十代の女の子たちを魅了していた、画家です。
今回は「高畠華宵が描く動物・愛しきペット」展で子供向けの動物や挿絵や、日本画ではお客様からリクエストがあった「辻説法」日蓮像の展示をしていました。
竹久夢二美術館
有名な叙情画家、竹久夢二です。「100年前に夢二が発信❤ 大正時代の「かわいい」展 ~乙女がときめくデザイン&イラストを中心に~」
谷崎の着物展の流れで、こちらを見たので、夢二の愛人、お葉さんの帯どめ・根掛け(日本髪の根の部分に使う、紐に珊瑚玉をいくつも通した飾り)の展示があり、比べてしまいました。オーソドックスなセレクションには少しびっくり。伊藤晴雨とのこともある人なのに、説明文の「平凡な主婦として人生を終わる。」には感慨深いものがありました。気になった人はリンク先を見てね

竹久夢二美術館
耽美・華麗・悪魔主義 谷崎潤一郎の着物を見る 概要
会 期: | 2016年3月31日(木)~6月26日(日) |
会 場: | 弥生美術館 |
開館時間: | 10:00~17:00 入館は16:30まで |
休 館 日 : | 月曜日 |
入 場 料 : | 一般900円 大・高生800円中・小学生400円 |
WEB・SNSは展覧会の特設はありません。下記の美術館と同じです。
弥生美術館・竹下夢二美術館アクセス方法
webサイト: | サイト http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/ facebook twitter |
住 所: | 弥生美術館 東京都文京区弥生2-4-3 竹下夢二美術館 東京都文京区弥生2-4-2 |
電 話: | 弥生美術館 03-3812-0012 竹下夢二美術館 03-5689-0462 |
休 館 日: | 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)展示代え期間中 年末年始 |
アクセス方法
最寄駅:東京メトロ千代田線 根津駅 1番出口 徒歩7分
都営地下鉄南北線 東大前駅 1番出口 徒歩7分
JR上野駅 公園口 徒歩25分
バス :都営バス(学01)上野駅前―東大構内 終点 東大構内 下車徒歩2分
都営バス(学07)御茶の水駅―東大構内 終点 東大構内 下車徒歩2分
都営バス(上60)上野公園―大塚駅(池袋駅東口)弥生2丁目 下車徒歩3分
都営バス(上58)上野松坂屋―早稲田リーガロイヤルホテル 根津駅 下車徒歩7分
※駐車場はありません。
池田重子横浜スタイル展 そごう美術館
歌川国貞 和の暮らし、和の着こなし。太田記念美術館
