澁澤龍彦の小説「護法」の舞台。
澁澤龍彦の「護法」(うつろ舟 収録)の冒頭、江戸時代、長谷寺の門前で芸者遊びをする地元の町人の若者の宴で、オタクの若旦那が、仲間にたきつけられて、夜中に十王堂から護法の像を持ち出して……という短編小説があります。澁澤の小説には珍しく、住まいのある鎌倉を舞台にしたものです。江戸時代は、長谷寺界隈が、繁華だったことと、夜半亀ヶ谷の切通し歩く距離感は、土地の人間ならではです。谷戸の湿り気と長谷の潮の匂いがする。鎌倉に住でなければ分からない行間がこの小説にはあります。
あらてめて、読みなおして、少し驚いています。閻魔様のいる、肝試しになりそうな十王堂の場所が、小説では扇が谷の浄光明寺になって、インテリ若旦那の家が、建長寺の前となっています。実際には、十王堂の場所が、護法に翻弄される、若旦那さんの家のある、山ノ内の建長寺前です。渋澤さんも、閻魔様のお怒りを受けないようにしたのかしら。
さすが鎌倉時代、閻魔大王など十王像は名作です。

円応寺は、建長寺の向かい側にあります。赤いのぼりと、看板が目印です。
十王とは、亡者が地獄で出会う、10人の王様です。こういうのが苦手な人もいると思います。私も地獄絵とか苦手なので、ダメかなと思いました。
十王像をひとつひとつ見ていくと、優しい王様もいます。伝、運慶作と云われるだけあり。鎌倉時代の、仏像を堪能できました。座像のそばまで近づき、鑑賞できます。写実的で、衣服のしわが、きわめて動的です。像がボリューミーで、存在感があります。
しばし死後の世界について考えさせられました。
デザインで気になったところ
残念、撮影禁止です。仏像のみならず、本堂も、鐘楼もなかなか良いです。いかんせん、写真が撮れません。仏像以外の話で、本堂が土間式、格天井で鎌倉時代の禅宗の風を感じさせられました。禅宗様は、今となってはエキゾチックです。座敷形式ではなく。堂内が土間なので、各十王様のそばまで行けます。じっくり鑑賞出来ます。西洋化した現代日本では、この方がしっくり、来ると思います。
鎌倉国宝館に、のこりの仏像が、展示されています。
今回、たまたまですが、円応寺の拝観の後、鎌倉街道をぶらぶら歩いて、鶴岡八幡宮の境内の、鎌倉国宝館に行きました。十王堂で展示されていなかった、初江王座像、具生神座像、などが展示されています。
一緒に見に行くのも、良いと思います。
アクセス情報付きです
国宝館に行こうか迷っている人へ、30分くらいでサックと見れますよ。
仏像好きで、鎌倉観光に来る人で、鶴岡八幡宮の境内にある、鎌倉市立鎌倉国...
鎌倉国宝館に、行ってきました。
デザインの種を探しに、鎌倉の寺社をめぐる。地元だから買い物のついでなんだけど、贅沢なことであると、感謝しま...
円応寺とは
宗派 臨済宗建長寺派
山号寺号 新居山 円応寺 (あらいざん えんおうじ)
創建 建長二年(1250)鎌倉時代
開山 智覚禅師
本尊 閻魔王
別名閻魔堂、十王堂と呼ばれる。人が死後、冥界で出会う十王をまつっている。建長二年(1250)の創建とされている。開山は智覚禅師。(略)円応寺は「由比ガ浜大鳥居の東南にある」とされているが、それ以前は長谷周辺にあったと伝えられる。元禄一六年(1703)の大地震と津波の被害により、現在の地に移されたという
鎌倉の寺 小事典 より
アクセス方法
webサイト: |
なし |
住 所: |
鎌倉市山ノ内1543 |
電 話: |
0467-25-1095 |
入場時間 : |
春~秋 9:00~16:00 冬 9:00~15:30 |
拝 観 料: |
200円 |
注意、撮影禁止です。
アクセス方法
最寄駅:JR横須賀線線北鎌倉駅下車 徒歩15分
バス :江ノ電バス、鎌倉駅発、大船、本郷台、上大岡行き、建長寺前下車
(平日の散策に、この路線をお勧めします。)
北鎌倉 山ノ内の紹介
山ノ内・北鎌倉駅周辺 観光めぐり便利メモ
赤印:観光スポット 緑印:交通情報、バス停と亀ヶ谷切通し入り口 青印:公衆トイレ
2018年3月作成
横須賀線の北鎌倉駅を降...
東慶寺
東慶寺はビジュアルのよいお寺です。
どこを向いても絵になる。どこを撮っても様になる写真がとれる、東慶寺はビジュアルの良いお寺です。人気のあ...
秋の東慶寺に行ってきました。
昨日、9月27日に東慶寺に行ってきました。このところ台風なので、涼しさを通り越して寒い日が続いていました。数...
明月院
紫陽花で有名になった、明月院(めいげついん)。
紫陽花ですっかり有名になった、明月院です。紫陽花が植えられた経緯は、人手不足で植えっぱな...
青い紫陽花が、みごとです。
明月院の、観光に役立つアクセスデータ付きの、エントリーはこちら。
明月院のほど近くに住んでいます...
丸窓の向こうに行って見たいと思いませんか?
明月院は人気があるので行かれた方も多いかと思います。明月院の名物の本堂の丸窓の行列に並んで、...
明月院の有名な丸窓の向こうは、花菖蒲の花園。
紫陽花で有名な北鎌倉の明月院には、普段は非公開の庭園があります。本堂の裏で「本堂後庭園」とい...
円覚寺
円覚寺は鎌倉五山第二位の寺です。
境内
円覚寺の敷地は横須賀線の線路を超えて、県道鎌倉街道を超えた、円覚寺の駐車場まであります。横須賀...
2017年2月の、梅かまくら特別参拝。
円覚寺の総合案内は、こちらエントリーになります。
2017年2月8日の「僧侶とめぐる...
塔頭(たっちゅう)に、入ってみたくなる円覚寺。
円覚寺の総合案内は、こちらエントリーになります。
塔頭(たっちゅう)は有力な...
insutagramに映えそうな、お寺
円覚寺の総合案内は、こちらエントリーになります。
insutagramやってますか?...
円覚寺に2015年11月3日の祭日に行ったのですが、混んでいて写真が撮れない。見るだけでしたら、観光客の反応も見られて、それもまた面白いと思...
円覚寺の舎利殿が拝観に行って来ました。
円覚寺の総合案内は、こちら。
円覚寺宝物風入れと舎利殿公開の概要
...
円覚寺 建長寺 宝物風入れ
11月1日~3日に、円覚寺・建長寺の宝物風入れが、ありました。
風入れとは、虫干しを兼ねて、宝物の公開をすることです。国宝・重要文化財、歴...
浄智寺
浄智寺は地味そうだけど、どっこい面白い!
北鎌倉駅周辺は、大きなお寺の円覚寺、駆け込み寺の東慶寺、紫陽花寺有名な明月院と有名なお寺さんがあ...
わびさびから、子供も楽しめる、変化のあるお寺
私は北鎌倉エリアの観光では、浄智寺をお勧めしています。家に近い場所なので、知り合いを連れてい...
建長寺
日本初の禅宗寺院で、鎌倉五山第一位
行ってみると、建長寺は大きなお寺です。建物も大きいですが、半蔵坊まで続く境内も広いです。さすがに日本初...
円応寺
澁澤龍彦の小説「護法」の舞台。
澁澤龍彦の「護法」(うつろ舟 収録)の冒頭、江戸時代、長谷寺の門前で芸者遊びをする地元の町人の若者の宴で、...
長寿寺、4~6月 10・11月 金・土・日曜・祭日 限定公開です
長寿寺は鎌倉で一番美しいお寺だと、私は思っています。限定公開です。
足利尊氏の邸宅跡で、墓があります。南北朝好きな人は、是非、行ってく...
牡丹の花が満開でした。
長寿寺は私が鎌倉で一番美しいお寺だと、思ってるお寺です。期間限定公開のお寺ですが、三回も見に行ってしまいました。建...
鎌倉で一番美しい寺
長寿寺の観光に役立つ、アクセスデータはこちらのエントリーです。
「鎌倉で、一番美しい寺は、」と問われたら。私...
座敷は風情があります。
長寿寺の観光に役立つ、アクセスデータ付きエントリーは、こちら。
今回は私が好きで、見ると反射的にたくさん...
禅居院 非公開寺院を 梅かまくら特別参拝でのぞいてきました
年に一度の、梅かまくら特別参拝に参加しました。
建長寺の向かい側にある、禅居寺は非公開寺院で、普段は檀家さん以外境内に入ることもできません...
光照寺
北鎌倉のはずれにあります。
光照寺(こうしょうじ)は北鎌倉のはずれにあります。普通の観光客は行かないと思います。隠れた花の名所です。9月に...
成福寺 横須賀線で北鎌倉駅の手前で見えるあのお寺です、鎌倉ではレアな浄土真宗
鎌倉市唯一の、浄土真宗のお寺でした。実は増えた。
東京から横須賀線で鎌倉に行くと、大船駅と北鎌倉駅の間に、茅葺の立派な山門が見えるお寺です...
常楽寺
禅宗の歴史では重要なお寺です。
鎌倉の観光エリアから少し外れて大船になりますが、日本の禅宗の歴史では外せません。「常楽は建長の根本なり」と...
鎌倉の、ヴィジュアルの良いところを紹介する、ガイド記事を、目指して書いています。
ブログを書くときは、実際に神社仏閣に行って、情報を足で歩いて探して書いています。今のところ有名な名所が、抜けていますが、ご容赦ください。鎌倉市内の観光エリアの寺院はすべて取り上げる予定です。
当ブログ管理人 山本は鎌倉に住んで47年になります。鎌倉市民だから知っている、情報も書きます。他で読むことのない、鎌倉観光情報サイトにいたします。
鎌倉らしい日本の古典デザインの、家具をデザインしたいと思っています。鎌倉の名所めぐり、勉強になります。デザインのヒントもいただけて、ワクワクしながら、取材しています。
投稿者プロフィール
-
山本
-
平安・鎌倉・室町時代の有職故実デザインの家具・インテリアを、売りたい!と業界ををリサーチしたら、どこも作っていませんでした。鎌倉時代の禅宗様にインスピレーションを得た、インテリアをデザインをしたいです。
Twitter 山本公子
Facebook 山本公子
Instaglam 山本公子