稀代の家具作家、黒田辰秋の展覧会
会期が3月10日(月)までに、なりましたが、そごう横浜店内のそごう美術館の「黒田辰秋の世界展 生誕110年 目利きと匠の邂逅」に行ってまいりました。
民芸に興味がなかったので、黒田辰秋さんのことは知りませんでした。

そごう美術館のサイトでよりおかりしました 黒田辰秋作
※お写真はそごう美術館のHPよりお借りしました。
京都の漆塗り職人の家に生まれ、塗りだけではなく、自分で木地を作るところから、仕上げまでする方だそうです。民芸運動の柳宗悦・河井寛次郎らと親交を結んだそうです。
黒沢明監督の別荘のいすの写真が、無料招待券に載っていてので、見に行きました。画像でお見せしたかったのですがどこかで探して見てください。
黒沢明邸のいすは、一脚だけでしたが、すごい迫力いや存在感です。ウィングスタイルの背もたれに彫刻がしてあり、座り心地はどうかとは思いましたが、自分のトレードマークにしている彫刻を施し、拭き漆で仕上げています。
黒沢監督に依頼されたとき、欅にしたかったそうですが、予算オーバーで楢に変更されたそうです。
漆塗り職人なので食器の展示が多く、白洲正子さんが祇園の旅館で、お椀を気に入って、その縁でお知り合いになり、本も書いています。
白洲家のお嬢様のお嫁入り道具のお椀は、朱漆なのですが、家紋(笹竜胆)がふたの裏と、高台の内側に描かれていて、オシャレ!溜め息物でした。

そごう美術館のサイトよりお借りしました。黒田辰秋展
※こちらの写真もそごう美術館のHPよりお借りしました。
展覧会を見て、現代の職人について考えてみた。
日本のクラッシックスタイルのインテリア用品を扱いたいので、伝統工芸品をいろいろと探しています。
そこで聞く話だと、分業制が崩壊して職人が一人で作っています。というのをしばしば聞きます。扇職人が、竹骨から地紙に絵を描いて糊付けするまでやっているとか、漆職人では、美大出身の女性職人が、木地から作ていますとか。
分業制をひいた歴史は詳しいことが分からないのですが、江戸時代に人口が増えても産業創出が禁止されていたので、工程ごとに分業していった町人の知恵のだったと思うのですが。(その辺のことは、いずれ本読んで調べておきます)
職人が全行程を一人で作る、逆行状態は、後継者不足と、伝統的な商品の需要が減た他に、美大卒業者が職人なる、高学歴化もあるかとも思われます。
ここで問題なのが、誰でも黒田辰秋さん、レオナルド・ダ・ヴィンチさんになれるわけではないでしょう。
材料確保から下準備、そして仕上げまで一人でして、果てはマーケティング、販売までこなすのは、向き不向きがあるのではありませんか。
職人によっては、デザインはデザイナー、マーケティングは卸、餅は餅屋に任せたほうが、美しい工芸品を作れる人も、いるのではありませんか。
才能は人それぞれ、どちらのタイプの職人さんも、生き生き仕事ができるようにしていきたいですね。将来その仕掛けづくりが出来たらと思います。
黒田辰秋のベンチに座ってきました。
2014年3月5日初出
2016年5月24日訂正
2016年8月18日訂正
2021年6月24日改訂