北森鴻の、美貌の女旗師、冬狐堂こと宇佐美陶子シリーズを全て読みました。
長編小説の狐闇、狐罠、
短編集の緋友禅、瑠璃の契り、の4冊になります。
女が惚れる女、宇佐美陶子
冬狐堂、宇佐美陶子さんは、他のシリーズにも出ているそうなので、そちらも楽しませてもらいます。バブル時代に青春を送った者としては、世田谷のマンション住まいで、友人たちとワインを嗜むシーンは懐かしく気持ちのいいシーンでした。
私はつい最近まで、北森鴻が男性で、すでに鬼籍入っているとは存じていませんでした。もう冬狐堂さんの、旗師としての美学と真贋を巡る戦いを読むことができないことは残念です。
私は作者は女性だと思っていました。陶子さんは三宿あたりのイタリアンに集い、バーを梯子するお洒落な30代女性。北森さんが男性作家だと知ってしまうと、陶子とその女友達は、男前女子です。友情関係も男の子の友情そのものです。男性作家故に、女性の汚い部分がカットされているので、非日常的で好きになったのだと思います。
それと私は、今は家具オタクだけど、その前は高校生の時から美術オタクでしたので、骨董が出てくる小説は好きです。
紀貫之から、日本には男性が女性に仮託して、文学を書くという伝統があります。女性からみると都合よく理想化されています。気持ちよく女性がよめてしまう、腕のいい男性作家さんをたくさん生みだしました。
最後に少し思ったこと、女性に毒があるならば。
女性作家は、100円ショップとか、激安スーパーの店の奥の臭い。
北森鴻は、フルボディーのブルゴーニューかボルドーの赤ワイン。
フルボディーのくせのあるワインを飲みたい夜は、冬狐堂さんをお供に。
北森鴻 宇佐美陶子シリーズ
こんな洋裁本見たことない、「スチームパンク&クラシカルドレス」

ソファーで洋書「domino THE BOOK of DECORATING」

2013年8月17日初出
2015年11月11日改訂
2021年6月20日改訂